凍結中の大戸川ダム建設事業を検証する国土交通省近畿地方整備局と関係自治体による会議で、現行のダム計画に加え、河道掘削や堤防の嵩上げ、引き堤などによる六つの治水対策案が示された。これに伴い近畿地方整備局では12月4日の期限でパブリックコメントを実施しており、結果を踏まえ、2015年度中に総合的な評価を行うとしている。
大戸川ダムは、国が09年に検証対象とした83事業のダムのうち、いまだに対応方針が確定していない12事業中の一つ。淀川水系大戸川・宇治川・淀川の洪水調節を目的に、大津市上田上桐生町に計画された重力式コンクリートダム。堤高は約67・5b、堤頂長は約200b。ダム洪水調節地の貯留容量は約2190万立方b。
10月30日に4年9カ月ぶりに検証会議が再開され、現行計画以外の治水対策案として6案が示された。
6案は、淀川の河道掘削や高山ダムなどの嵩上げ、大戸川から瀬田川に向け放水路トンネルを建設する対策などで、概算事業費は約3900億〜6100億円。
ダムの概算事業費(残事業費)は約478億円で、最も少なかった。
次回以降の会合で、ダム計画も含め各案のコスト、社会的影響、安全度などを総合的に評価し、ダム事業の継続か中止の判断につながる対応方針をまとめる。対応方針の決定時期について担当者は「なるべく急ぎたい」としながらも明言を避けた。
提供:建通新聞社