日本工業経済新聞社(群馬)
2015/11/04
【群馬】全建と法面保護協会群馬県部会が技術講演会開く
群馬県建設技術協会(会長・上原幸彦県県土整備部技監)と全国特定法面保護協会関東地方支部群馬県部会(幹事長・設樂雅之特代表取締役)の主催、群馬県建設技術センターの後援による、本年度の技術講演会が10月30日、前橋市内の群馬県公社総合ビルで開催された。
今回の講演のテーマは『災害への備え』。当日は300人が聴講に訪れ、昨今における土砂災害の発生状況や浅間山などの噴火予測とその対策、最新の法面技術のほか、福島県からも講師を招き、東日本大震災からの復興に関する講義を行った。
講演に先立ち、主催者である上原会長と設樂幹事長がそれぞれ登壇。さらに、全国特定法面保護協会関東地方支部の長谷川泉支部長も祝意に駆け付けた。
上原会長は、甚大な被害が生じた9月の関東・東北豪雨に触れ「全国で毎年、これまでにないほどの大きな自然災害が発生しており、ハードとソフト両面での対策の必要性を実感する。県民の安全・安心を守るため、本日は4つのテーマで講演が行われる。それぞれ専門的な立場から幅広い内容となっているので、皆さまの今後の業務に役立ててほしい」と呼びかけた。
長谷川支部長は「強さを増している台風、局所豪雨の頻発など、これまでにない災害が発生し、今後はさらに大きな災害が発生する恐れもある。本日は多くのことを吸収し、知識を深め、これからの仕事に生かしてもらえれば」と期待した。
設樂幹事長は「仕事を分かっているつもり、分かっている状況といった中で凡ミスや事故、良いものがつくれないといったことにつながっていく時もある。日々実施していることでも、深く考えながら見つめ直す意識と行動が大切。きょうの講演を聞き、良いものを社会に残していける協会、業界にしていきたい」と意気込んだ。
講演へと移行し、まず斜面防災対策技術協会の滝澤俊康本部理事が『最近の土砂災害の状況と発生事例』をテーマに講義。滝澤理事は土砂災害の発生状況や短時間強雨の発生回数を示しながら、近年発生した土砂災害の特徴を説明した。このうち、静岡県浜松市で2013年に発生した門島地すべり、東京都大島町で昨年発生した元町地区と神達地区での斜面崩落を取り上げ、災害の発生経緯や地質の状況、対策工事の概要などを詳細に解説した。
続けて、福島県土木部都市計画課の佐藤光彦副課長(主任主査兼務)が『復興のまちづくり』を演題に、東日本大震災からの復興に向け展開する各種復旧事業を説明した。また、ここ3カ年における入札不調についても言及。不調の発生率は減少傾向にあり、本年8月末までの発生率も前年と比較して横ばいの状況にあるという。不調対策として、福島県では設計内容の見直し、発注ロットと地域要件の拡大などに取り組んでいることを紹介した。
休憩を挟み、前橋地方気象台の井出洋一火山防災官が浅間山などの噴火予測と対策について講義。噴火の前兆現象や過去の噴火による被害状況などを解説した。
最後に、全国特定法面保護協会関東地方支部の黒柳啓技術委員長が法面技術の最新動向として、数百mまで吹き付けが可能な長距離圧送技術などを紹介した。
なお、全国特定法面保護協会は特定法面保護工に関する調査や研究開発、技術者の養成などを行っており、群馬県部会の事務局は、渋川市の特内に設置されている。