三重県都市計画審議会(第178回)が10月28日に開かれ、高速道路と鈴鹿市街地を東西軸で結ぶ都市計画道路「鈴鹿亀山道路」(仮称)について、ルート帯の「市街地北部ルート」を、都市計画の「概略の案」(以下、概略案)とする議案と、環境影響評価手続きにおける「環境影響評価方法書」(案)の議案の2議案が審議され、「議案内容は適切」との判断で原案通り了承された。これにより、構想段階から計画段階の手続きに入ることになり、今後、市街地北部ルートを対象に、方法書に基づく現地調査を本格的に行うことになる。ルート帯から路線案への検討を経て、都市計画案として手続きに入るまでには数カ年かかるものとした。
鈴鹿亀山道路については、2011年度の環境影響評価法の改正後、道路事業の対象としては同案件が適用の第1号となり、構想段階での複数の概略案に対して環境配慮を踏まえた「配慮書」を作成後、有識者委員からの意見を踏まえ、「市街地北部ルート」のルート帯、起・終点、設計速度などの概略案を9月16日に県知事が決定した。これを受けて、構想段階の締めくくりとして、今回、概略案を都市計画手続きに位置付け、決定した。
了承された概略案は、起点が鈴鹿市、終点が亀山市。概略延長約10`。4車線。種別は一般国道。市街地北部ルートの1`幅のエリアを示した。都市計画上の位置付けとして、鈴鹿と亀山の各都市計画区域マスタープランの中で、交通処理機能の強化、新たな土地需要を生み出す道路網などとした。以上の位置付けから、当該道路が都市構造に大きく影響する施設であるため、都市計画に定め、開かれた手続きで地域などの合意を図っていくこととしている。
一方、環境影響評価の「方法書」(案)は、評価の項目として、大気質、騒音・振動・低周波、水質など14項目を挙げた。これは、国土交通省令に示されている項目に加え、概略案のルート帯に、史跡なども多く存在することから、「歴史的文化的な遺産」も、三重県環境影響評価技術指針を踏まえて盛り込んだ。方法書には、ルート帯選定までの経緯や配慮書に対する国、県、市からの意見と、それに対する都市計画決定権者の見解を示した。
今後は、市街地北部ルートの現地調査を進めるとともに、関係自治体、機関などから意見を踏まえ、実現可能な路線を検討する。選定された路線に基づく都市計画案の作成と並行して、環境影響評価の準備書の作成を進め、案の公告・縦覧を経て審議会に諮ることになる。ここまでに数カ年はかかるものとしている。
審議会では、委員から、「構想段階で産業道路として検討されていた南部ルートが対象から外れた経緯」、「東側の起点を国道23号でなく北勢バイパスとした経緯」などについて質疑があり、県側は、南部ルートについて、「100人協議会などでの意見を踏まえ、高規格道路として最適なルートとして議論してもらった結果」などと説明。区間設定については「1998年に北勢バイパスまでが高規格道路の計画路線として指定された」と高規格道路整備手続きの経緯を説明するとともに、「国道23号までの延伸の必要性はこれまでに議論されており、将来の構想案として残している」ことを説明した。
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建通新聞社