「百万石の地で触れよう 未来につなぐ まちづくり」をメインテーマとして、きょう30日に金沢市の石川県立音楽堂を主会場に開催される「第58回建築士会全国大会石川大会」を前に29日、日本建築士会連合会の三井所清典会長らが記者会見を行い、三井所会長が「古いものを大切にしながら新しいものを加えていく金沢のまちづくりの精神を、この大会で学びたい」と抱負を述べた。
会見には同連合会の三井所会長、山中保教副会長、主管県である石川県建築士会の照田繁隆会長が出席した。
三井所会長は「大会への参加者実数は4000人を超える。金沢の街中を見て回ったが、古い街並みもあれば新しい建物もあり、大変落ち着いていい街になっていると感じた。古いものを大切にすることで現在の新しいまちづくりにつながっている。歴史を尊重することがいかに大事かを認識した」と印象を語った。
照田会長は大会の概要を説明するとともに、大会メインテーマの趣旨について「石川県には、重要伝統的建造物群保存地区が全国最多の八つある。一方で、新しい建物にもいいものがある。古いものを残すと同時に、新しいものを常に供給することで、過去のまちづくりを未来に受け継いでいくという思いがあった」と話した。
また三井所会長は、現在の連合会の重点的な取り組みとしてヘリテージマネージャーの育成、技術向上のための講習会の実施の二つを挙げ、「ヘリテージマネージャーは、各地区の文化的に価値がある建物を、災害で被災していち早く取り壊されないよう、回復できるものは改築して残す役割を担う建築士。連合会では、その養成のための講習会を全国の建築士会で始めた。技術向上の講習会については、これまで建築士会が設計側で活動している会員向けの事業に力を入れていたのを、施工側で活動している会員のための事業にも取り組んでいこうと行うもので、今年度から建築工事に特化した監理技術者講習をスタートさせた」と述べた。山中副会長は「ヘリテージマネージャー講習は、今年度すでに44都道府県で行われ、約3400人が受講した。監理技術者講習も今年度は35建築士会で開催する予定で、来年度にかけて、さらに全国的に展開したい」との意向を示した。
さらに、三井所会長はマンション傾斜問題にも触れ、「杭工事は確認しにくい工事であり、今後は発注者、設計者、施工者の話し合いの中から対応を見出していくことが必要だ。連合会では当面、建築相談とタスクフォースで対処していく」との考えを述べた。
照田会長は「それぞれの都市の持つ歴史の流れの中に乗って建築活動をやらないと、特徴のない街になってしまう。石川県には個性的な建築物が多くある。会員の皆さんには、ぜひそれを見て感じ取って帰っていただきたい」と結んだ。
石川大会では大会式典をはじめ、前金沢市長の山出保氏の記念講演、全国ヘリテージマネージャー大会、交流セッション、情報交流セッション、大交流会、地域交流見学会などが行われる。