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北海道建設新聞社
2015/10/30

【北海道】札幌市がホテル増改築に支援制度−観光客受け入れへ環境整備 

 札幌市観光文化局は、2018年度にもホテルの増改築支援制度を新設する。外国人旅行客の受け入れ環境を整えることが目的。アクションプラン2015では、事業費に3億6400万円を計上している。
 同局の調査によると、観光目的以外も含めた外国人宿泊者数は14年度に過去最大の141万5680人を記録。前年度から34.2%も伸びている。特にアジア圏の増加が大きく、中国からの宿泊者数は2・18倍の31万4776人に上った。
 一方、旅館業法で届けのある市内の宿泊施設は14年度末時点で前年度比11件増の191件、客室数は500室増の2万6642室、定員数は1386人増の5万1285人という状況。
 宿泊施設の稼働率を見ると、14年度は年度平均で75.8%と高水準をマーク。観光庁の宿泊旅行統計調査では北海道全体で57.8%、東京都で78%や大阪府で81%を記録している。全国平均は57.4%だった。
 こうした状況を背景に同局は受け入れ環境整備を進めたい考えだが、同局の担当者は「札幌はハイシーズンと閑散期の差が大きいため、単に部屋数を増やすことが環境整備につながるかは分からない」と話す。
 14年度の月別客室稼働率を見ると、7月に85.6%、8月に85.8%、2月に86.6%とピークを迎えるが、1月は68.3%、最も低い4月は56.2%にとどまり、ピーク時との開きは最大で30.4ポイントにも上る。
 新設する制度では、既存ホテルの増改築を支援することでホテルのグレードアップを図る。16―17年度で制度の詳細を固め、18年度の運用開始を目指す。制度設計によって変動する可能性はあるが、19年度までに4件の補助を目指しており、1件当たり約9000万円の補助額を見込んでいる。
 今後は対象範囲やグレードアップの方向性を検討。業界のニーズ調査なども進めながら、単純に部屋数を増やすのか、富裕層向けに複数の部屋を1つにまとめゆったりとした部屋も確保するのか、などを詰めていく。市内に191ある宿泊施設全てを支援することは困難なため、不公平感のない制度とすることにも配慮する。