千葉港港湾計画の改訂に向けた「千葉県地方港湾審議会千葉港幹事部会」(部会長=有本彰男・関東地方整備局千葉港湾事務所長)の第3回目が29日、千葉市の県自治会館で開催された。前回の専門部会で審議された千葉港の役割と課題について整理し、課題の対策に向けた施策展開について議論した。今後は、来月開催される第2回専門部会で内容を審議し、その後、第4回幹事部会、第3回専門部会などを経て、パブリックコメントを実施し、年度内に長期構想をまとめる。
施策の展開では、前回の専門部会で示された、@競争力強化を目指した埠頭の再編・強化Aにぎわい空間の創出B東京湾の環境改善に向けた取り組みC大規模地震発生時の港湾物流機能の継続――の4つの検討項目と、各地区別による施策展開が示されたほか、「物流関連ゾーン(外貿コンテナ)」「物流関連ゾーン(公共一般、専用)」「生産ゾーン」「緑地レクリエーションゾーン」「都市機能ゾーン」「自然環境の保全・再生ゾーン」などに分けたゾーニングによる展開案が提示された。
競争力強化を目指した埠頭の再編・強化では、千葉中央地区でモータープールの用地不足、自動車専用船などの大型化による岸壁の延長・水深不足、京浜港との地理的位置関係による利用条件の不利、アクセス道路の混雑による陸上輸送の滞り(葛南中央地区含む)、非効率的な配置の貨物岸壁、厚木取扱機能のシフト、民の視点を取り入んだ効率的な港湾運営が、課題に挙げられた。葛南東部地区、北袖ケ浦・南袖ケ浦地区では低利用地区の有効活用、また地区全体では港湾施設の老朽化対策、企業跡地の有効利用などが、それぞれ課題として取り上げられた。
これに対して、モータープール不足は埋め立てによる用地確保、岸壁の延長・水深不足は岸壁の延伸・増築等の整備、京浜港との利用条件は京浜港との連携強化によるコンテナ貨物取扱量の増加などの対応策が示された。また厚木取扱機能のシフトでは、厚木の取り扱いが木更津港にシフトしたのに伴い、厚木拠点としていた出洲埠頭の機能再編を進める。このほか、新たな展開として注目される企業の跡地利用では、東燃ゼネラル石油の市原市での火力発電所、水素利用での活用などが紹介され、有効的に活用できるよう検討することとした。
一方、にぎわい空間の創出では、千葉中央地区と千葉北部地区で集客施設への海上アクセスの有効活用、千葉中央地区で客船の受け入れが課題として挙がった。これに対し、海上アクセスの有効活用では旅客桟橋の整備を進め、客船の受け入れでは、既存施設を有効活用しながら受け入れ体制の確立を図る。また、大規模地震発生時の港湾物流機能の継続では、千葉中央地区、葛南中央地区で耐震強化岸壁・緊急輸送道路の適切な配置・整備を進め、千葉港の防災力を強化する。
各地区別による施策展開での整備内容は次の通り。
▽葛南中央地区=アクセス道路維持機能の拡充、自然環境の維持・回復、耐震強化岸壁緊急輸送道路の整備、放置艇の削減、港湾施設の老朽化対策▽葛南西部地区、葛南東部地区=高度利用地区との連携等の利用活性化の推進、港湾施設の老朽化対策▽千葉中央地区=モータープール用地の確保、大型船に対応した施設整備、コンテナ貨物の海上輸送への転換促進、アクセス道路機能の拡充、効率的な施設配置への再編、出洲埠頭の機能転換・有効活用、集客施設を結ぶ海上ネットワークの構築、港湾施設の老朽化対策▽千葉北部地区=集客施設を結ぶ海上ネットワークの構築、自然環境の維持・回復、港湾施設の老朽化対策▽千葉南部地区=企業跡地の有効利用、放置艇対策の推進、港湾施設の老朽化対策▽八幡〜南袖ケ浦地区=高利用地区との連携等の利用活性化の推進、放置艇対策の推進、港湾施設の老朽化対策