県亜熱帯植物園で複数回の地すべり 県が試算 最低事業費約31億 長崎市脇岬町の長崎県亜熱帯植物園(サザンパーク野母崎)でこれまでに地すべりが複数回にわたり発生したことに関し県は、本年度中に対策の方向性を決める考えを明らかにした。現地調査や対策方法の検討結果によると、地すべり防止対策工事には少なくとも約31億円が必要との試算だ。
杭打工等で対応か、本年度中に方向性 県は今夏、地滑りや砂防に詳しい大学教授など有識者3人に調査や検討を依頼。その結果、地下水を排除する工事や地すべりを防止するための杭打ち工事などが必要と提言された。これに基づき県が試算。それによると調査・設計費などに約6億円、対策工事費に約25億円を要するという。
県は今後、指定管理者である市野母崎振興公社など関係機関と本格的に協議を開始。工事の是非のほか、対策工事の範囲や規模などについて内容を詰める。建設新聞社の取材に対し県観光振興課は「工事の是非や工事内容について、本年度中に方向性を示す。今後のスケジュールに関しては未定」と話した。
1991〜2006年にかけ、集中豪雨などによる地すべりがこれまでに4回発生。地すべりが発生しているのは駐車場に着くまでの場所で、通常は来場者が立ち入らない位置だが、今後、地すべりの範囲が広がっていく可能性もある。このため、県側は慎重に対応方針を決める考えでいる。
「長崎県亜熱帯植物園」(サザンパーク野母崎)は、長崎半島の最西南端に位置し、橘湾を望む丘陵地に広がっており、亜熱帯植物が四季を通じて鑑賞できる場所。とりわけ夏休みなどは多彩なイベントが繰り広げられ、親子連れなどで賑わいを見せている。このためにも万全の安全対策が必要だ。