大阪市建設局は、市橋梁事業で初めてだった設計・施工一括案件の堂島大橋改良事業が10月23日に案件中止となったことを受け、今後、検証を行った上で、課題を整理し対応方針を決める考えだ。今回の入札は、技術提案書・参考見積書が市の予算を超過する見込みとなり中止にした。
市の担当者は、「事業費の下限を提示していたが、上限は提示していなかった。素晴らしい提案があったのは事実だが、次に(まったく)同じやり方をしても結果が同じになってしまっては意味がない」と説明。また、歴史的価値のある橋梁なだけに、直すという方針に変わりはなく、今回の技術提案書提出会社数は、「今後の方針が決まっていないため明らかにできない」と回答した。
検証・課題の整理の過程では、必要な工事予算の上積みという観点と、工事内容の絞り込みなどによる現行予算での事業実施という両面から検討が行われるとみられる。
堂島大橋は、1927年に架設された高齢橋。老朽化しているものの、中之島エリアの景観形成のシンボル的な施設として位置付けられており、特徴的なアーチ部を残す形での改良が計画されている。
橋長は76・14b(鋼橋部ヒンジ間距離54・86b)、有効幅員22・7b(アーチ主構部含む)。上部工は下路式2ヒンジソリッドリブアーチ。下部工はRCラーメン橋台。橋台基礎は松杭。
過去に地盤沈下を受けた影響で橋全体が不等沈下しており、桁下空間が小さく舟運航行の支障になっているため改良が必要になっている。改良計画では、比較的健全なアーチ主構部と下部工を残した状態で、老朽化の著しい床組みを取り換える上部改良工を予定。
不等沈下によるアーチ主構部の変形や応力状態が事前に把握できないため、設計と施工を同時に進める必要があり、また床組みを取り換える改良案が複数あることから、設計・施工一括による発注を予定している。
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建通新聞社