福井県建専連(吉田勝二会長)の15年度県行政勉強会は20日、福井市手寄のアオッサで開催され=写真、県土木部制定の元請下請関係適正化指導要綱が運用開始後1年余を経て、その意義や目的を改めて再確認し、運用上の課題も併せて活発に意見交換した。県土木部から川端裕之建築住宅課営繕室長、宮木雅夫土木管理課建設業グループ主任、向川泰弘技術監理グループ主任が出席した。
まず県側から同要綱が示す遵守事項を、下請施工にかかる各種制限や、とくに法定福利費確保の観点でポイントを押さえながら説明。続く自由討議では、参加メンバー(専門工事業11団体加盟)から、建築の各専門分野で発生する問題点を指摘し、早期解決に向かうよう切実に要望した。このなかで法定福利費に関連し、元請が下請に提出をせまる作業員の国民年金等支払い状況を証明するための領収証などで、その集約に結構手間がかかる(型枠)と苦言を呈し、また資材単価に連動する労務単価においてもその上昇率の工種間格差やタイムラグが生じ、物価調査会等に確認を(塗装)などと発注者の県に対して、より的確な状況把握と強い指導力を求めた。
これに絡めて吉田会長は、社会保険が議論のテーマとなる際、建築と土木は積算体系が全く異なり、その区別を明確化しなければ混乱は必至で「改善案として発注者側で社会保険料の扱い方(元請から下請まで、事業者と従業員双方の負担分)を明確に提示するなら、よどみない流れが生まれるはず」と、県側に国に先行して独自な方式を立案し確立してほしいと要望。対して県側は、より良好な流れへ発注者責任も認めつつ「結果として、不調が増えてもらっては困るが…」などと理想に向かう険しい道のりを示してかわした。
このほか人手不足の横行が起因する問題で、工期設定は対象規模に応じながら人手確保状況にも十分考慮した柔軟な体制見直しを。北陸新幹線工事(九頭竜川橋りょう)では県道橋も一体整備され、地元が下請受注できるよう鉄道機構大阪に働きかけてほしい。嶺北の業者が嶺南の市町工事を請負うと距離的に遠く、交通費や宿泊費が余計にかかり休日返上も余儀なくされ体力的に厳しい状況。また若者の入職敬遠の大きな原因は休日数が少ないためとの指摘に県側は「2カ年にわたる工期を用意する一方、供用開始の関係でやはり単年度工事も多く、延ばせるものは極力そう努めたい」と理解を促した。
今勉強会では従来の労務単価とともに工期設定がクローズアップされ議論の中心に。早期発注に併せ工期延長にも柔軟性を求め、最後に40代の参加者から「10年、20年後の長期展望を持って取り組む必要がある」と意見し、全参加者の気持ちとして収束した。