日本工業経済新聞社(群馬)
2015/10/22
【群馬】富岡製糸場近くの交差点改良へ 今後用地買収を本格化
県富岡土木事務所は、富岡製糸場近くの国道254号富岡交差点を改良する。周辺を拡幅し、右折レーンを整備することで交通の混雑を緩和。クランク状になっている交差点北側も改善する。電線類は地中へ埋設する。すでに地元への事業説明を行っており、今後用地や補償物件の調査を本格化させる。2019年度の完成を目指す。
悲願だった富岡製糸場の世界遺産登録を果たし賑わいをみせる富岡市。それをさらに後押ししようと、県がその中心部となる国道254号富岡交差点の改良に着手する。
交差点東側については拡幅と無電柱化を進め、来訪者の利便性や景観の向上を図る。交差点の70m手前まではすでに拡幅が終わっており、それを交差点まで延ばす。整備済みの場所と同様に道路両側には歩道を設置する。交差点には富岡市役所方面への右折レーンを設ける。
交差点西側についても拡幅し、歩道を広くする計画。製糸場方面への右折レーンもつくる。ただ西側についてはどこまで整備するか決まっておらず、これから地元などと協議して詰める。
交差点北側は富岡市役所までの間の拡幅と線形改良を行う。特に交差点近くにある諏訪神社沿いのカーブは、見通しが良くなるよう改善する。歩道は片側にのみ整備する予定だ。上信電鉄上州富岡駅からの動線を考え、今のところ道路東側への設置が有力だという。交差点南側については当面現状のままとする。
国道254号の現道にある富岡交差点は、製糸場へのメーンルートの一つ。上州富岡駅から製糸場へ向かう観光者や、製糸場周辺の駐車場を利用する車が頻繁に行き交う。また、交差点付近には富岡市役所や小学校、裁判所などがあり、これらの施設を利用する人も多い。もともと交通量が多い上、観光者が増えたことで休日の混雑はさらに深刻化。交差点が南北にクランク状に曲がっていることをも混雑の原因で、今回の改良できれいな十字型に直す。
同事務所の担当者は「これまでも地元からは、交差点の改善要望があった」と経緯を説明した。同事務所は2012年度から現地調査に乗り出し、対策を検討。調査は2年かけて行い、本年度からはより詳細な設計に着手した。平面図が出来上がったことで、県はことしの2月と10月に地元で説明会を開き、事業への理解を求めた。今後は用地や物件調査を本格化させ、早期着工を目指す。ただ、交差点付近は富岡商工会館など多くの建物があるため、その補償や解体などに時間がかかりそうだ。