2015年度上半期(4月〜9月)の香川県の倒産状況が出揃った。帝国データバンク(TDB)高松支店と東京商工リサーチ(TSR)高松支社まとめの上半期の倒産状況によると、負債総額はいずれも50億円を下回り、前年同期に比べ大幅に減少した。今後の見通しについて「借入金の返済猶予を受けながら抜本的な財務体質の改善が進まない企業など、倒産件数が増加に転じる要素は残る」(TDB)、「抜本的な経営改善が遅れた倒産予備軍企業を中心に今後も一定数の倒産発生は避けられない」(TSR)と見ている。
TDB調べの上半期香川県内倒産状況(負債額1000万円以上、法的整理による倒産)によると、倒産件数は15件、前年同期比21・1%減で上半期としては4年連続の減少。件数が20件を下回るのは14年度から2年連続。負債総額は22億2300万円で前年同期(51億4500万円)に比べ56・8%減。上半期ベースでは2期連続で50億円を下回った。10年度以降の半期ベースでは最も少なかった。
TSRまとめの香川地区上半期倒産状況(負債総額1000万円以上、内整理含む)では、倒産件数は17件(前年同期比39・2%減)で集計開始以来2番目の低水準を記録した。負債総額は28億8600万円。前年同期に比べ49億3000万円少ない、同比63%減となった。過去10年間で9番目。
業種別に見ると、TDB調査で建設業の倒産件数は1件。小売業が6件(構成比40%)と最多だった。TSR調べでも建設業は件数1件と前年(6件)に比べ83・33%減。負債総額は3000万円で前年(7億2300万円)に比べ95・85%減。
TDBの9月の景気動向調査によると、香川県の景気DIは前月比2・4ポイント減の44・0とことしに入り最高を記録した前月から大きく後退、2カ月ぶりに「全国」(44・6)を下回った。規模別では「大企業」が前月比4ポイント減となり4カ月ぶりに悪化。「中小企業」も2か月ぶりに悪化するなど各規模で悪化した。業界別では「不動産」「運輸・倉庫」の2業界で改善したものの、好調をキープしてきた「建設」を含む4業界で悪化。また、景気の先行き見通しでも「慎重な見方が強まっている」としている。
今後の見通しでTDBは後継者不在などの問題を抱えた小規模倒産や、利益の蓄積が進まないままの中小企業の経営リスクのほか中国経済の減速が与える影響の背景等を踏まえ、「財務体質の改善が進まぬ企業と後継者問題を抱える零細企業から倒産件数が増加に転じる傾向」を指摘。TSRは「倒産の抑制は景気の回復よりむしろ、各種政策的な抑制効果によるところが大きい」と見ており、「金融機関の柔軟なリスケ応諾による資金繰り支援は限界」として「資金需要が増大する年末に向け倒産予備軍企業を中心に企業倒産が増勢をたどる」と見ている。
提供:建通新聞社