富山県建設業協会は17日、県立高岡工芸高校の保護者を対象とした懇談会を、高岡市の同校で開催した。
今年度からの新規事業で、今回が第1弾。建設系学科生徒の進路をアドバイスする保護者に、地域建設業の状況や建設技術者の仕事に理解を深めてもらうことで、若者の入職促進につなげる狙いで開いたもの。
この日は協会から近藤駿明会長、山本隆副会長・建築委員長、高尾道明土木委員長、上田信和土地改良委員長、辻正博労務経営委員長、牧田潔専務理事ら、高校側は、土木環境科と建築科2年の保護者17人、教諭4人が参加した。
冒頭、近藤会長が「建設業は地域の発展、生活基盤を支える工事を行い、生活する方の居住や生産、事業を進めるための環境を整えている。インフラの維持・修繕、地震や集中豪雨による被害発生時は行政と連携し、応急措置や復旧工事を行うほか、除雪作業も担っている。地域社会に欠くことのできない存在であり、建設業は将来に渡りなくなることのない産業」と述べ、「建設業界は近年、若者の入職が減り、高齢化が進んでいる。このままでは、将来に向けた建設技術の継承が困難になると大変危惧している」と話した。
さらに、「若者の入職促進へ、テレビCMやポスターの作成、現場見学会、インターンシップなどのPRを行ってきたが、思うような結果が出ていない。本日は、保護者の皆様に建設業の役割や仕事を紹介し、建設業へ抱く疑問や就職に対する不安をお答えすることで、少しでも業界を理解していただきたい。卒業の暁には建設業界への就職を切望するとともに、業界を上げて歓迎したい」とあいさつした。
懇談会ではまず、建設業の役割を紹介するDVDを放映した後、データを基に建設業の現状を説明。先輩技術者から、昭和建設の外山誠氏(二上工業高校土木科卒)と山本建設の濱谷静絵氏(高岡工芸高校建築科卒)が入職したきっかけ、仕事の内容、休日の過ごし方などを紹介した。
意見交換では保護者から、どういう会社を選ぶべきかとの質問があり、協会側は会社によって土木、建築の得意分野が異なるため、学生本人に施工管理、職人のどちらになりたいかなど、よく考えてもらった上で、きちんと調べて会社を選んでほしいと回答。
待遇面の質問に対しては、給与や週休二日など、社内でできることから改善している。女性の入職が増えており、産休制度の導入なども進んでいると答えた。
先生側からは、建設業界へ入職するに当たっての心構え、能力で必要なことはとの質問があり、協会側は現場ではいろんな人とのつながりが必要であり、あいさつなどコミュニケーション能力が重要と回答した。
終了後、近藤会長は、「学校はベーシックな部分を学ぶところ。卒業しても一人前ではない。どの社会も同じだが、実力を発揮するのは社会に出てから。本人の挑戦する気概、気力が重要」と話し、「これまで建設業界の仕事内容を理解してもらう機会がなく、3Kへの先入観を払拭できない現状は残念だが、今回出された意見を参考に今後も呼びかけを行い、新たな手法あれば取り組みたい」と総括した。
なお、29日夜には、同様の懇談会が富山工業高校で開催される。