県港湾空港課は、秋田港を取り巻く昨今の社会情勢や経済状況、環境変化などに対応するため、秋田港長期構想検討業務をプロポーザルで公示した。建設部におけるプロポーザルの実施は今年度で2例目。◇秋田港への要請・果たすべき役割を的確に把握するための現状と課題の整理方法 ◇魅力あるまちづくりを創出する、将来の空間利用計画を検討するための手法―という2つの特定テーマについて技術提案を求め、20年後、30年後を見据えた長期構想の策定に向かう。
秋田港における現行の港湾計画は平成18年2月に改訂、30年代前半を目標年次として計画方針を定めた。その後、外港地区には国際コンテナターミナルが完成・供用し、防波堤の延伸により港内の静穏度向上も図られている。
秋田港およびその周辺では、秋田湾産業新拠点(A−BIZ)で東部ガス株式会社の秋田LNG基地が12月から操業を開始するほか、丸紅株式会社、株式会社大林組、エコ・パワー株式会社による秋田港洋上風力発電事業、丸紅株式会社と株式会社関電エネルギーソリューションによるA−BIZでの石炭火力発電所建設など、民間事業者によるエネルギー関連の事業が活発化しているほか、近年の大規模災害を踏まえ、津波に対応する防潮堤の整備検討なども進められている。
県ではこのような社会情勢の変化など新たな要請に基づく課題を整理し、長期的な展開方向としての物流、産業、交流、安全・安心、環境など港湾全体のビジョンを検討し、20から30年後を見据えた長期構想を策定するため、今回の業務を委託する。
業務では、港湾の現況を分析して果たすべき役割・課題を整理し、長期的な基本方針を具体化する主要施策を定めたうえでパブリックコメントも実施。主要施設規模や空間需要の算定、空間利用計画を検討したうえで、長期構想検討委員会やパブリックコメントなども踏まえながら長期構想素案を作成する。
その後、長期構想の主要な施策から港湾計画の施策を選択し、次期港湾計画の基本的な枠組みを設定する。港湾計画に位置付ける施設の具体的な施設計画は、公共ふ頭、水域施設、小型船だまり、臨港交通施設、港湾環境整備施設などの各計画を「段階整備計画」としてとりまとめる。段階整備計画は前期・中期・後期などで策定され、概算事業費や資金計画、主要プロジェクトの費用対効果検討なども行われる。
今回、プロポーザルで公示した業務の契約上限金額は4,471万2,000円(税込)。来月16日までの技術提案書提出、同月25日のヒアリングを経て、12月21日までに最優秀提案者を決定する予定。委託後は30年3月23日の履行期限で業務が進められる。
提供:秋田建設工業新聞社