千葉市は、一般廃棄物処理施設基本計画の案をまとめた。現在の3清掃工場運用体制から3用地2清掃工場運用体制に移行することを前提に、まず、最も老朽化している北谷津清掃工場を2016年度末で廃止し、その跡地に新清掃工場を建設する。新清掃工場はガス化溶融方式、処理能力585t/日(195t/日×3炉)で計画。来年度から環境アセス等の手続きに入り21年度に建設に着手、26年度の稼働を目指す。また、北清掃工場は延命化のための整備を実施し、30年度末まで運用。新港清掃工場は新清掃工場の稼働に合わせて25年度末に停止し、リニューアル整備後、北清掃工場に代えて31年度に再稼働させる予定。
同市の一般廃棄物処理施設としては現在、ごみ焼却施設3施設、リサイクル施設1施設、最終処分場1施設が稼働している。
焼却施設は、78年2月から北谷津清掃工場(若葉区北谷津町347、用地面積3万5484u)、96年11月から北清掃工場(花見川区三角町727−1、用地面積3万9478u)、02年12月から新港清掃工場(美浜区新港226−1、用地面積3万2852u)が稼働を開始。11年度策定のごみ処理基本計画では、最も老朽化が進む北谷津清掃工場(全連続燃焼式ストーカ炉150t/24h×2炉、計300t/日)を16年度末で廃止するとしている。
今回のごみ処理施設基本計画(案)では、北谷津清掃工場の跡地に計画する新清掃工場と、リニューアルを行う新港清掃工場の両施設が整備される31年度の焼却量を年間28万1622t(災害廃棄物3万2256tを含む)と推計。これを2等分して振り分け、新清掃工場の処理能力は585t/日(195t/日×3炉)、焼却方式は最終処分場の延命化を考慮してガス化溶融方式(シャフト式、流動床式)とした。
一方、北清掃工場は基幹整備を行い、30年度末まで延命化。新港清掃工場は既存建築物を活用し、老朽化したプラントのみを更新するリニューアル整備を行う。
リニューアル整備を行う新港清掃工場の現在の処理能力は、全連続燃焼式ストーカ炉、405t/日(135t/24h×3炉)。新清掃工場建設期間中の21〜25年度で環境アセス等の手続きを進め、新清掃工場の稼働に合わせて26年度からリニューアルに着手し、5か年程度で整備を行う計画。リニューアル後の処理能力は、ストーカ式焼却炉で522t/日(174t/日×3炉)を見込んでいる。
焼却施設以外では、新浜リサイクルセンター(中央区新浜町4、用地面積5万9506u)が運用開始から30年を迎える25年度までに用地の検討及び住民の合意形成を進め、現施設を運用しながら25〜30年度で基本設計、生活環境影響調査、建設を進める。
施設の更新時期は30年程度とされるが、新清掃工場建設時期との重複を避けるため、計画的な修繕を実施することで整備時期を新清掃工場稼働後とし、財政負担の平準化を図る。
最終処分場については、新内陸最終処分場(若葉区更科町1457、埋立容量93万9000立方m、埋立面積8万2800u)が供用中で、埋立終了見込みを31年度としているが、2清掃工場体制への移行で焼却灰や不燃残渣の資源化が図られ最終処分量が減少する見通しであることから、埋立完了を37年度まで6年間延長可能とし、それまでに新たな処分場を確保する。
用地に関しては、すでに埋め立てが完了している4つの処分場(中田、下田、蘇我、東部)は跡地利用が図られていたり法的な規制、費用対効果の面で再整備が困難なことから、新規施設整備に向けて早期に用地の検討に着手する。
現在の新内陸最終処分場は環境アセス・建設に約9年間を要していることから、23年度から環境アセスが実施できるよう用地の検討及び地元の合意形成を図り、32年度から埋め立てを開始する。
このほか、汚水処理施設に関しては、各最終処分場に浸出水処理施設が併設されているが、下田最終処分場の施設の老朽化が進行しており更新が必要。特に水処理の主たる設備であるコンクリート製の屋外設置水槽の劣化が著しく、修繕では対応が困難なことから、用地の検討を行い20〜22年度で建て替え、23年度からの稼働を目指す。
整備対象になっている既存のごみ処理施設の施工者は、北谷津清掃工場が日立造船、新港清掃工場が川崎重工業、北清掃工場と新浜リサイクルセンターが三菱重工業、新内陸最終処分場が大林・鹿島・伊藤JV及び熊谷・大昭和JV、同浸出水処理施設が川崎製鉄、下田最終処分場の浸出水処理施設が荏原インフィルコ。
なお、一般廃棄物処理施設整備基本計画作成業務については昨年度、一般財団法人日本環境衛生センター(神奈川県川崎市川崎区四谷上町10−6)へ委託している。