1都9県で構成する関東甲信越地方建設業協会長会(会長=渡邉勇雄・(一社)栃木県建設業協会会長)は、「発注関係事務の運用に関する指針」についての各都県の状況をまとめた。今月7日に国土交通省との間で行われた関東甲信越ブロック「地域懇談会」において、上部組織の(一社)全国建設業協会の「同指針の徹底及び事業量の安定的かつ継続的な確保について」の提案議題の作成にあたり、各都県に対して回答を求めたもの。質問の項目は、@運用指針が策定された後に、各都道府県及び各政令市において、すでに自ら取り組んでいる事項及び今後取り組む予定としている事項A各都道府県から各市町村への周知及び周知活動の方法――について。
「地域懇談会」全建提案議題で 地方公共団体への2つの質問のうち、前述の@の細目は「予定価格の適正な設定」「歩切りの根絶」「低入札価格調査基準または最低制限価格の設定・活用の徹底等」「適切な設計変更」「発注者間の連絡体制の構築」「工事の性格等に応じた入札契約方式の選択・活用」「発注や施工時期の平準化」「発注者との情報共有、協議の迅速化」の8つ。対象とした地方公共団体は、本県をはじめ東京都(建設局)、神奈川県、埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、長野県、新潟県。
栃木の全市町で歩切り根絶確認 このうち「歩切りは行っていない」と回答したのは、本県をはじめ東京都建設局、群馬県(予定価格について)、山梨県(市町村には通知)にとどまった。栃木県では、昨年5月の市町村長会議で「適正な予定価格の設定」を行うよう依頼するとともに、同年11月には「歩切りを行っている5市町」を訪問し、各担当課長に対して歩切りを止めるよう指導。本年4月には、全市町において「歩切りの根絶を確認した」という。
群馬で「フレックス工期契約方式」試行 「発注や施工時期の平準化」について本県では「上半期における早期発注や債務負担行為の活用により、発注や施工時期の平準化に努めている」と回答。東京都建設局では、これらに加えて「技術者準備期間(余裕期間)を設定し、入札に参加しやすい環境整備」を実施。同じく群馬県では、工事の発注時期が平準化されるよう「月ごとの発注額を一定とし、完成時期が一時的に集中しないように、工事の完成時期も考慮した発注計画」を立案。それらをホームページで公表するとともに、受注者が工期を柔軟に設定できる「フレックス工期契約方式」の試行を開始したという。
デザインビルドで東京五輪競技会場 「工事の性格等に応じた入札契約方式の選択・活用」では、東京都建設局が工事の性格等に応じた総合評価方式に加え、オリンピック競技会場にある施設を対象にデザインビルドを活用。今後はさらに、総合評価方式の適用拡大を図るという。山梨県では「予定価格3000万円以上の工事については原則、総合評価方式で実施する」などの拡充や改善を実施。栃木県では、地域の実情に対応した「維持管理業務の統合発注」を行っている。
「発注者との情報共有、協議の迅速化」では、群馬県において建設業協会支部と発注機関とが一堂に会し、設計変更の妥当性やその他の問題について話し合う「(仮)セカンドジャッジ検討会」を設けているのも特徴の一つ。