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建通新聞社(中部)
2015/10/15

【三重】次期活性化プランの取り組み状況 県が議会に説明

 三重県は、地域における建設業のあるべき姿を実現するための施策を盛り込む「三重県建設産業活性化プラン」の次期プランについて、策定に向けての取り組み状況や考え方を示した。10月6日に開かれた県議会防災県土整備企業常任委員会の所管事項として審議されたもので、次期プランの柱を、「人材確保・育成」、「入札契約制度の改善」とすることなどを県側が説明した。12月県議会に中間案を公表し、2015年度内に策定する方針だ。
 同活性化プランでは、地域の建設業に期待される姿として、品質が確保される「技術力」を持ち、災害などで「地域に貢献」できる建設業が存続していくことを将来ビジョンとして掲げ、「技術力」、「地域貢献」、「経営力」の三つのキーワードの目標値を達成させるため、12〜15年度の4年間で、官民が協力して各施策に取り組んでいる。その結果、14年度末時点で目標値を達成したと説明した。
 県では16年度からの次期プラン策定に向けて、7月に県、有識者、建設業界などで構成する「三重県建設産業活性化プラン検討会議」(委員長・酒井俊典三重大学大学院教授)を発足させ、第1回検討会議で、現プランの取り組み状況や課題を審議した。
 県側は、現プランの問題点として、@建設業界は、高齢化が進み、若年入職者の減少が一層進行するとともに、産業全体に比べて売上高経常利益率が低い状況にあるなど、いまだ活性化を感じられる状況までには至っていないことA現プランで掲げた三つの課題である「工事の品質低下への懸念」、「災害時の緊急対応への不安」、「地域経済への影響」は、いずれも発注者である県の視点で捉えた課題であること―を挙げた。
 第1回検討会議で出された意見のうち、人材育成などの観点では、▽若年者の就職のニーズはあるが、入職は進んでいない▽若年者の就職には、労働環境の改善が必要▽若年者の離職防止のため、資格取得の研修などが必要―とした。入札契約制度の改善の観点では、▽落札率が低く、工事単位での利潤が確保できない▽くじ引きの落札が多く、計画的な受注に基づく経営が困難な状況▽不良不適格業者の排除など、入札参加業者の絞り込みが必要▽入札手続きなどの事務が煩雑であり、労力と費用が掛かる―とした。以上の意見などを踏まえ、次期プランの策定に当たって、県側は、有識者、業界側の意見が一致した点として「人材確保・育成」を改善点の一つとして挙げ、一方、県側としてできる改善点として「入札契約制度の改善」に取り組むものとした。
 常任委員会の委員からは、「業界全体が疲弊している。災害が発生した時に、その地域に小回りの効く中小規模の建設企業がいて初めて災害対応ができる。そうした企業を残していくことが大切であり、雇用の面でも考慮していくことが必要だ」などの意見があり、次期プランへの期待感が示された。

提供:建通新聞社