県企業庁管理・工業用水部はこのほど、「千葉県工業用水事業中期経営計画に関する懇談会」の第3回目を幕張テクノガーデンで開催。懇談会では「(仮称)施設更新・耐震化長期計画」の素案が示され、委員の意見を求めた。今回の懇談会は昨年2月の第2回開催以来で、新たに座長を選出、小泉明・首都大学東京都市環境学部特任教授が就任した。
施設更新・耐震化長期計画は、安全度を高め、安定的な工業用水供給の実現を目指して計画の策定作業を進めている。計画期間は、現行の中期経営計画が終了する翌年度の2018年度から57年度までの40年間。同計画は長期計画のため、事業の着手予定時期及び概算事業費を示し、事業実施の具体的な内容は5年ごとに策定する中期経営計画の中で示す。
計画の対象施設は、県内の工業用水道7地区の、土木施設53施設、建築施設35施設、機械・電気・計装設備35施設、管路380・1q、水管橋84施設。
素案では更新時期について、法定耐用年数で行う場合(ケースA)と更新基準年数で更新を行う場合(ケースB)の2パターンを検討。ケースAの場合は概算事業費が3202億3800万円で、計画初期の18〜22年の事業費が約1480億円で全体の約45%となる。これに対しケースBでは、更新基準年数での更新と耐震補強の組み合わせを考慮するなど、整備手法の工夫により安定給水が確保できるとして、原則として「更新基準年数で更新」を行うこととした。
更新基準年で更新を行う場合の概算事業費は1853億8800万円(消費税込み)。各施設ごとの事業費は、土木施設が更新(20施設)288億6400万円、同耐震補強(33施設)112億7400万円、建築施設(23施設)84億6700万円、機械設備252億8100万円、電気・計装設備273億7500万円、管路(167・2q)407億6500万円、水管橋更新(71橋)259億400万円、同耐震補強(3橋)6億600万円。
土木施設は、更新基準年数90年での更新とし、計画期間内に更新時期を迎える土木施設は更新、その他の施設は耐震補強を行う。耐震補強となっている施設のうち、浄水処理系統が複数ある4浄水場(南八幡、郡本、佐倉、人見)は1系統を更新。機械・電気・計装設備は更新基準年数により更新。管路は、耐震対策が必要な約170qを早期に耐震継手のある管路へ更新(布設替え)する。
地区別事業費は、東葛・葛南地区351億500万円、千葉地区149億8400万円、五井市原地区73億4700万円、五井姉崎地区532億7600万円、房総臨海地区225億1700万円、木更津南部地区346億7600万円、北総地区6億2900万円。
更新需要見通しは、40年間を5年ごとに区分し、地区ごとに概算事業費、事業の着手時期・期間、更新及び耐震補強などの対応策を示した。機械・電気・計装設備については、日常的な点検・維持補修を実施していることから、更新基準年数での更新サイクルで更新を行い、土木施設及び建築施設の更新時期に併せて設備更新を行う。
全地区の更新需要見通しでは、最も事業規模の大きい五井姉崎地区が更新需要約584億円で全体の約30%を占める。同地区は5年ごとの更新需要が約64億円から87億円の間で推移する。
事業計画は、機能面での重要性により施設重要度を設定し、更新診断、耐震診断の結果に基づき更新優先順位を設定。そのうえで更新時期を設定し、概算事業費を算出し計画を策定する。
施設重要度は、取水施設、貯水施設、導水施設、浄水施設、送水施設及び配水施設について、状態によりA1、A2、Bの3ランクを設定。老朽度、耐震性については、13〜14年度の2か年で土木施設、機械・電気・計装設備、管路の更新診断と土木施設、建築施設、管路、水管橋の耐震診断を実施し、評価を行った。
その結果、老朽化対策では、土木3施設、管路約20qで早急な更新や布設替えが必要。また耐震診断では、土木8施設の耐震補強と適合性のない管種・継手を使用している管路約170qの早期の更新(布設替え)、水管橋は耐震性のない71施設の耐震補強を実施する必要があるとした。建築施設は13年8月までに耐震補強工事を実施済みで、すべての施設の耐震性が確保されている。