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建通新聞社(静岡)
2015/10/02

【静岡】リニア、発生土置き場1(扇沢)取り止め

 第2回静岡市中央新幹線(リニア)建設事業影響評価協議会において、これまで葵区扇沢に建設を見込んでいた最大級の発生土置き場1(扇沢)は、取りやめとし、それ以外の6カ所に代替地を求めることとなった。これにより、掘削土の輸送トンネルルートも変更される。
 JR東海が示した環境影響評価準備書(2013年9月)に示された発生土置き場案に対しては、県知事より扇沢は回避してほしいとの要望が出されていた。
 JR側も、扇沢への設置は、経済的にも見送る方が得策との見解を示し、燕沢以南の他の候補地への施設配置(宿舎や発生土置き場、トンネルなど)を検討する方向を明らかにした。
 このケースでは、最大規模の発生土置き場2(燕沢=つばくろさわ)が中心となりそうだが、燕沢についても市長から施設配置などをよく考えてほしい旨の要望が出されており、同所への集中か、6カ所への分散かが今後の焦点となっていく。JR東海では、安全面、環境面、経済面を考慮、地質調査により支持地盤を確認し盛土が崩壊を起こさない法面勾配、排水設備、擁壁構造を検討、具体化を急ぐ。
 また、リニアルートの坑口からの土砂搬送手段とされているベルトコンベア用トンネルは、奥沢までの延長8・5`から燕沢付近までの4・5`へとほぼ半減することになる。
 準備書による発生土置き場と想定盛土数量は、@発生土置き場1(扇沢)・約310万立方bA同2(燕沢)約360万立方bB同3・約2万立方bC同4・約10万立方bD同5・約2万立方bE同6・約5万立方bF同7・約17万立方b―となっている。
 発生土置き場の管理については、国土交通大臣からそれぞれの発生土置き場について、個別の管理計画が必要との見解が示されており、JR東海では、@置き場の概要、法的規制、発生土搬入計画A計画上の防災面、環境面の配慮B造成中の防災面、環境面の配慮C異常時対応(降雨、地震など)―を骨子として、今後策定を進める意向を示した。
 さらに、発生土置き場と並び懸案となっている大井川の水量減少対策では、JR東海は独自の検討機関、大井川水資源検討委員会で、導水路トンネルを有力案として、想定トンネル3ルートを比較検討しながら具体化を図ることになりそうだ。
 課題となるのは、トンネル掘削などで地下水が山梨側などへ流れ、大井川の水量が減少してしまうのではないかとの懸念への対応。
 トンネル3ルートは、ケース1・虎杖(延長約12`)、ケース2・椹島(延長約12`)、ケース3・畑薙(第1ダム貯水池付近・延長約22`)で、ケース2が最有力案となっている。
 JR東海では、導水路トンネル計画を12月頃までに策定、市の環境評価協議会、県の環境保全連絡協議会、大井川水利調整協議会などに諮ることになる。引き続き、16年1月から3月までに土砂流出の数値シミュレーション結果、景観検討結果、工事施工計画概要などを順次提示していく。

提供:建通新聞社
(2015/10/2)

建通新聞社 静岡支社