日本工業経済新聞社(群馬)
2015/10/01
【群馬】工事費増額の方向 新庁舎建設
新庁舎建設で、富岡市は3年総額約36億円としていた工事費を増額する方針を固めた。人件費や資材の高騰によるもので、増額は数億円程度になる見込み。近く臨時市議会を開き、関連の案件を提案する。施工者を決める入札は12月に予定しており、担当課は詳細な工事費の算出や入札方法の検討を急ぐ。
各地で建築工事の不調が相次ぐ中、何とか無事着工を目指すべく、担当課は必死になっている。
基本設計の形を極力保ちつつコストを縮減するため、設計書とのにらみ合いが続く。屋根の張り方といった工法や細かな部材の一つ一つを丁寧に見直す。大幅にコストを削減するため、中庭に面したガラス窓を減らす案も出ている。昨今、数十億円増額する工事も珍しくない中、こうしたコストカットの積み重ねで「何とか数億円の増額で収まりそう」(市担当者)というところまでにこぎ着けた。
完成までのスケジュールは、すでに示されており、12月に入札を行い、年明けに着工する。1期工事として2017年2月までに、新庁舎の入口エントランスを除く部分を建設する。引っ越しした後、現庁舎を解体。その後2期工事として入口エントランスや外構に着手し、17年10月に全工事が完了する計画だ。
注目の入札について、担当者は「総合評価や一般競争なども視野に方法を検討する」と話しており、建築工事と設備工事を分離発注することも検討する。市は、建物が3階建てと低層で地下室などもないことから「施工はさほど難しくはない」との見方を示しており、市内業者による施工も案としてはあがっている。
その一方、作業員や資材確保の面で、業者の体制や体力が十分担保される必要があるとの見方もある。このため「スーパーゼネコンも考えないわけにはいかないだろう」と、JV施工や下請けとしての市内業者活用も考えているという。
計画は、老朽化が進む市役所庁舎を現庁舎裏手の駐車場などを活用して建て替えるというもの。富岡製糸場に近いため景観に配慮し、新庁舎は3階建てと低層に収めた。延べ床面積は約8400u。駐車場は前庭などに約130台分確保する。設計は世界的な建築家、隈研吾氏の設計事務所が手がけた。
本年度の当初予算には工事費3年総額約36億1400万円を計上した。このうち、建築工事は約22億1400万円、電気設備工事は約4億8700万円、機械設備工事は約5億6900万円。残る約3億4400万円が外構などの経費としている。