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北陸工業新聞社
2015/09/29

【富山】「歴史建造物活用の力に」/ヘリマネ育成講習が開講/県建築士会/高岡市内で来年3月まで

 歴史的建造物や伝統的なまち並みの保存活用に向けて「富山県ヘリテージマネージャー育成講習会」が26日、富山大学高岡キャンパスで開講した。県建築士会の会員ら8人が参加し、県内に残る地域の文化や暮らしを、次の世代に伝えていく意識を新たにした。
 主催は地域の文化遺産継承事業実行委員会、県建築士会歴史的建造物委員会。14年度に続く開催で、文化庁の15年度文化芸術振興補助事業の一環。
 開講式では、主催者から中野健司県建築士会長が「北陸では、福井県が先頭を切って開講し、今年度が3回目。これまでの2年間で36人のヘリテージマネージャーが認定された。昨年にはヘリテージ協議会が立ち上げられ、会員の資質向上や、まちづくりに生かす活動、関係する他団体との交流が深まっていると聞く。富山県でも、協議会の結成ができればと思う。初開催となった昨年度は21人の認定があり、今年度と合わせれば30人ほどが生まれることになる。富山県の歴史的建造物の保存・活用に力を貸してもらいたい」、丸谷芳正地域の文化遺産継承事業実行委員長が「建築士には、地域の景観やまちづくりを合わせた建築物の文化を残していく活動が求められる時代になった」とあいさつ。
 初回は、全国ヘリテージマネージャーネットワーク協議会運営委員長の後藤治工学院大教授が講師を務め、「ヘリテージマネージャーの役割」について説明した。後藤教授は、「北陸と岐阜は、手刻みで伝統的な住宅を建てる技術が全国トップクラス。ほかの県は圧倒的にハウスメーカーが主流だ。われわれ伝統木材建築に関わる者にとって富山は希望の星。職藝学院の卒業生も活躍している。今、頑張らないと、伝統的な住まいが無くなってしまう。みなさんには力を付けてほしい」と述べた。
 講習会は、歴史的建造物の発掘評価、保存活用を実務的に行う能力を持った建築専門家を育成するもの。講座は16年3月5日までの全12回(約60時間)。大野敏横浜国立大教授、大田省一京都工芸繊維大准教授、文化庁の下間久美子宇氏ら県内外から専門の講師を迎えての座学のほか、高岡市の山町筋、勝興寺などでの実地演習もある。次回は10月10日に開かれる。

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