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日刊建設タイムズ社
2015/09/28

【千葉】ストレスチェック義務/メンタルヘルスを強化/全国労働衛生週間に向けて/建災防京葉分会が事前説明会

 10月1日からの「2015年度全国労働衛生週間」に向けて建災防千葉県支部京葉分会(石神信夫分会長)は今月15日、市川市内の京葉建設会館で実施要領事前説明会を開いた。同説明会では、船橋労働基準監督署安全衛生課の安孫子義雄課長が「全国労働衛生週間実施要領」を説明。また、近年は海外旅行の渡航先において、中東呼吸器症候群(MERS)や重症急性呼吸器症候群(SARS)が発生・感染するなど、事態は予断を許さない状況にある。時局に鑑みて京葉分会では、昨年に引き続き、市川市医師会で上白土ハートクリニックの上白土洋俊院長を講師に招いて「海外旅行と感染症」をテーマとした特別講演を開き、今後の職場で活用できる専門的なアドバイスを受けた。同説明会には会員60人余が出席。
  心と体の健康チェック
 全国労働衛生週間は、すべての働く人たちが快適な毎日を過ごすことを目指して行われるもので、1950年の第1回以来、本年で66回目を数える。今回のスローガンは「職場発! 心と体の健康チェック はじまる 広がる 健康職場」
 主催者を代表して石神分会長は、近年の全国労働衛生週間について「スローガンにもあるように、心とからだの健康確保対策が重要な課題となる」と指摘。「みなさんの職場において、健康な職場環境のさらなる整備が進むことを祈念する」と述べ、あいさつとした。
 職場発で自主的労働衛生管理を
 来賓の堀内利男・船橋労働基準監督署長は、第12次労働災害防止計画について「労働災害の防止のみではなく、健康確保職業性疾病対策も謳われている」と述べ、@メンタルヘルスA長時間労働と過労死の問題などの過重労働B化学物質による健康障害防止C腰痛・熱中症D受動喫煙防止――の5つの対策を紹介。このうちメンタルヘルス対策については、職場における精神障害の労災申請件数が非常に増えていることに言及。「昨年は全国で1456件の申請があり過去最多。この10年間では、ほぼ3倍に増えた」と指摘したうえで、対策の一環として「本年12月1日から改正安全衛生法によるストレスチェック制度の導入が義務付けられる。当面は50人以上の事業所規模となっているが、この制度の導入にあたっては、まずは産業医を交えての制度設計を十分に行い、社内規定を設け、従業員に事前にストレスチェック制度の主旨と目的などの実施体制について、個人情報の適正管理を含めて十分な説明が必要だ」との考えを示した。
 長時間過重労働とストレス精神障害
 一方、過重労働対策については「建設業を含めた人手不足の一方で、非正規労働者が増加する中、特定の正社員に仕事が集中する傾向。脳卒中や心筋梗塞などのいわゆる『脳・心臓疾患』が減らない背景には、月100時間を超える長時間労働が依然として減らないという現状がある」と指摘。
 このため、監督署としては「長時間労働の削減に向けた過重労働防止対策として、労働災害防止対策と同様に船橋労基署の最重点課題として取り組む方針でいる」との決意を示すとともに、労働衛生週間スローガンについては「本週間を契機とし、まさに職場発で自主的な労働衛生管理活動や健康確保職業性疾病対策への促進が図られることをお願いする」と呼びかけ、あいさつとした。
 負傷腰痛が30%
 建設業労働災害防止協会の錢高一善会長は、全国労働衛生週間に向けてのメッセージの中で、建設業における業務上疾病による被災者数に言及。長期的には減少し、昨年は705人(前年比28人減)だったことを報告する一方で、内容については「負傷による腰痛が依然として多く全体の30%、熱中症も20%を占め、石綿やじん肺による労災認定件数も全産業の中で高い比率を示す」と警鐘を鳴らす。
 面接指導も義務化
 また、厚生労働省の取りまとめによる「脳・心臓疾患及び精神障害に係る労災補償状況」において、近年は作業者のメンタル面の障害が増加傾向を示すことを指摘。昨年6月の労働安全衛生法及び労働安全衛生規則の改正により、本年12月1日から、作業者の心理的な負担の程度を把握するための「ストレスチェック」(検査)及びその結果に基づく面接指導の実施が義務付けられることについては、それにより「職場での仕事への強い不安、悩み、ストレス等による精神障害を予防するメンタルヘルス対策の積極的な取り組みが求められる」とした。
 これらの状況を踏まえて錢高会長は、全国労働衛生週間について「作業者の心とからだの健康と快適な職場づくりの重要性を再認識する良い機会」とし、会員に対して「経営トップの明確な方針のもと、企業の実態に応じた効果的な労働衛生管理活動を実践し、職場の安全衛生水準の一層の向上に努めてほしい」と要請する。k_times_comをフォローしましょう
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