旭市は新庁舎の建設に伴い、候補地とした旭文化の杜公園の都市計画変更に向けた手続きを進めている。都市計画変更に伴う図書の作成を県まちづくり公社(千葉市中央区富士見2―3―1)に委託。年度内の都市計画決定を目指すとともに、庁舎の建設位置を決定したい意向。新庁舎の建設候補地は同公園のうちゲートエリア付近を予定。敷地面積は約1haを見込む。
同公園は都市計画公園に位置付けられているため、公園計画の変更手続きを併せて進めている。庁舎の整備により公園の面積が減少するため、公園整備基本計画を変更。基本計画の変更をもって都市計画変更の手続きを行う。公園面積の減少に伴い代替地を確保することも想定される。また同公園の整備では、交付金を活用し、国から補助を受けている。このため補助金の返還も必要となる。具体的な位置を確定後に必要な手続きを進める。公園整備基本計画の変更案の作成も県まちづくり公社が担当。
事業の全体スケジュールは、基本構想で示された予定から1年程度ずれ込む見通し。現状では来年度で基本計画と基本設計、17年度で実施設計、18年度の竣工を見込む。
庁舎の建設位置については、現本庁舎敷地、旭文化の杜公園2か所、旧海上中学校跡地、消防本部隣接地の5か所を候補地に選定。昨年8月に庁舎位置についてパブリックコメントを実施し、市民の意見を求めるとともに「旭市庁舎建設検討市民会議」で評価を行った。その結果、委員の評価で同付近が最高得点を獲得。昨年10月に市民会議が市に「新庁舎建設位置についての提言書」を提出。提言では、旭文化の杜公園は市の中心部にあり、県の広域防災拠点及び市の広域避難場所として位置付けられ、防災機能も備わっていることから、庁舎が建設されることで防災拠点としての機能が高まり、公園機能もより向上するとし、「新庁舎の位置は旭文化の杜公園のゲートエリア付近が望ましい」とした。この提言を受けて市が総合的に判断し、ゲートエリア付近を候補地とする方針を固めた。
文化の杜公園は2001年3月に都市計画決定し、都市計画決定面積13・8ha。このうち約11・16haが供用している。公園施設のうち、補助対象となった事業は、多目的広場、センター広場、芝生広場、三角広場、エントランス広場、第4〜第6駐車場など。
一方、同市がまとめた庁舎の基本構想では、敷地面積を約1万u、建築規模を延べ約1万2000u、概算建築費を約50億円と想定。昨年度で建設場所を決めて基本設計に入る計画で、当初予算に調査・設計委託費として5082万2000円を計上していたが、庁舎の建設位置が決まらず、執行が見送られた。
同市の庁舎は、本庁舎が1964年3月の竣工で、建設から50年近くを経過し、老朽化と耐震不足が問題になっているほか、複数の施設に行政機能が分散する分庁方式による弊害が指摘されている。このため、防災拠点施設としての機能の重要性や組織の集約による効率的な行政運営などを目指して建て替えを計画。12年度に新庁舎建設に係る基本指針を策定。13年度に市民代表らで構成する市民会議を設置し、新庁舎建設基本構想を策定。昨年度で国土強靭化計画に位置付けた。
また本年度は、新庁舎建設基本計画の策定に先立ち、現在の執務室の使用状況や業務内容などを調査し、新庁舎の適正規模や機能などを検討する基礎資料を作成する「新庁舎建設窓口・執務環境現況調査業務」をイトーキ(千葉支店・千葉市中央区中央1―11―1)に委託している。