公益社団法人日本建築家協会(JIA)のJIA建築家大会2015金沢「みんな力(りょく)―ともに在る社会へ―」が17日、金沢市内で19日までの3日間の日程で開幕した。全国から約800名が参加し、建築家やJIA会員だけでなく、社会に関わるすべての人たちとともに考え、行動し、新たな社会を構築していくことの大切さを考える。後援は国土交通省、福井、石川、富山の各県、金沢市、日本建築士会連合会、日本建築士事務所協会連合会、日本建築学会、日本建設業連合会。
初日の17日は東山・卯辰山山麓寺院群で全国まちづくり会議を皮切りに、建築相談全国会議、全国保存再生会議、全国住宅部会連絡会議、全国地域会長会議をはじめ、法人協力会員サミット、全国環境会議、みんなフォーラム01〜04、シンポジウム、前夜祭「街中宴会」が行われた。
蓮昌寺でのフォーラムに先立ち、西川英治大会実行委員長が「3日間のフォーラムを始めたい。初日は金沢の伝統的な寺院群を会場に神聖な空間の中で、いろんなことを考えていきたい」とあいさつした。
「みんなフォーラム01/まち×建築―金沢のまちづくり」ではまず、前金沢市長の山出保氏が金沢のまちづくりについて講演し、歴史に責任を持つまちとして「保存と開発の調和である『区分けの理論』と、伝統と現代の共存『対置の原理』を進めてきた」と述べ、金沢職人大学校や金沢21世紀美術館といった事業を紹介し、「金沢らしさは本質を問うこと。まちは市民の手になる芸術品」と強調した。引き続き、山出氏に加え、同志社大特別客員教授の佐々木雅幸氏、福光屋社長の福光松太郎氏、金沢工大教授でJIA名誉会員の水野一郎氏が登壇し、これまでの金沢のまちづくりを振り返りながら「金沢は常に新しいものをつくろうという市民目線がある」「東京の論理ではいけない」「金沢は観光都市ではなく、歴史、文化、創造都市だ」などの意見が出された。
「みんなフォーラム02/幸福×建築―福祉でつなぐ地域の力」では、社会福祉法人佛子園理事長の雄谷良成氏が講演し、廃寺を地域のコミュニティ空間に再生させたエピソードなどを披露したほか、明治大教授の園田眞里子氏、五井建築研究所代表取締役の西川英治氏を交え、福祉と新たな地域コミュニティを実現した『シェア金沢』や輪島市での『人×漆=KABULET』構想について意見を交わした。
18日は大会式典・基調講演・パネルディスカッション、建築フォーラム01・02、アーカイヴスシンポジウム、レセプションパーティが行われ、19日は建築フォーラム03〜07、第9回建築家のあかりコンペ2015審査会が開催される。