船橋市は16日、船橋駅南口再開発事業全体構想検討業務委託の公募型プロポーザル選定結果を公表した。受託候補者として特定されたのはタカハ都市科学研究所(東京都港区西新橋3−3−1)。ほかにアール・アイ・エーとURリンケージが提案を行った。同再開発事業に関しては、1982年に全体構想図を策定。B街区(フェイスビル)の整備は完了したものの、それ以降、10年以上進展がない。しかし、JRによる駅ビルの建設や都市計画道路3・4・11号線整備の進展など状況に変化が表れてきたとして、当時の全体構想を検証し直し、事業の推進を図ることにした。
全体構想検討業務の内容は、@現状把握と課題の整理AJR船橋駅南口周辺地区まちづくりにおける基本方針策定B事業手法の整理と整備計画の作成。履行期間は2016年3月31日まで。市は提案限度額を700万円(消費税を含む)としてプロポーザルを行った。
現状把握と課題の整理では、JR東日本による南口駅ビルの建設、それに併せたペデストリアンデッキの延伸整備が具体化していることや、都市計画道路3・4・11号線の開通も今後予定されており、こうした街づくりの動向も含めて地区の現況(都市計画指定状況、都市基盤整備状況、公共交通機関利用現況等)や地域ポテンシャル(人口・世帯数、地価、周辺開発の動向、企業立地等)を整理し課題を抽出。併せて関係権利者等への情報発信のあり方についても検討する。
また、まちづくりにおける基本方針の策定では、同地区のあるべき姿(コンセプト)を設定するとともに、その実現に向けた土地利用のあり方や整備の方向性、公共施設整備方針を検討。
これらの検討内容を踏まえて、想定される事業手法を整理・比較検討し、市街地再開発事業の施行要件・補助採択要件を確認し、整備計画案(施設計画案)をまとめる。
市は82年にJR総武線と京成線に囲まれた約3・5haの区域を対象に、A1、A2、B(第1)、C1、C2の5街区で構成される「船橋駅南口再開発事業全体構想図」を策定。権利者の合意形成の状況や市の財政状況などを考慮しながら、街区単位で段階的に事業化を図ることとし、駅前広場の暫定整備が可能なことや、京成本線連続立体交差事業との関連が深いことを考慮し、B街区(第1地区)を優先整備街区に位置づけるとともに、A1街区とC1街区を第2期整備街区、A2街区とC2街区を第3期整備街区に位置づけた。
優先街区のB街区(第1地区)0・9haは、市施行の第一種市街地再開発事業として、03年3月末に再開発ビル「フェイス」が完成した。設計はアール・アイ・エー、施工は大林組・飛島建設・淺沼組・京成建設・木村建設工業JVが担当。
完成した再開発ビル「フェイス」の規模は、敷地4617・17uにRC・S造地下3階地上14階(塔屋2階)建て、建築面積4197・87u、延べ4万6488・57u、駐車施設189台(機械式180台、平面式9台)。
B街区(第1地区)以外の街区面積はA1街区が0・9ha、A2街区が0・3ha、C1街区が0・8ha、C2街区が0・3ha。第2期整備街区のうちA1街区では、準備組合が組織されたものの13年度に解散。そのほかの街区も狭小宅地で権利関係が複雑など課題が多い。
こうした中で、JR東日本による(仮称)JR船橋駅南口駅ビルが昨年度末に着工。フェイスビルからJR船橋駅へのペデストリアンデッキと、西武百貨店側を結ぶペデストリアンデッキも同ビルの工事に合わせて整備される。
同駅ビルの規模は、RC造地下1階地上10階建て、延べ約9800uで、用途はショッピングセンター及びビジネスホテル。設計をジェイアール東日本建築設計事務所とジェイアール東日本コンサルタンツ、施工を大林組が担当。
また、都市計画道路3・4・11号線については、京成線との交差部からA1街区とA2街区の間を抜けてフェイスビル脇に通じる延長92mの区間について、05年度から16年度末までを事業期間として市が街路事業で整備を進めている。