京都市住宅審議会はこのほど、住宅マスタープランの中間見直しに係る答申案をまとめた。
答申案によると、市が今後実施すべき施策の方向として、@京都の強みを活かした住まいや住まい方の継承・発展A人口減少社会に対する対応B安心・安全な暮らし・まちづくりの推進C将来を見据えた住宅セーフティネット機能の構築−の4点を提示した。
@では、京町家全体に対する施策として空き家対策を推進し保全・活用を求め、特に大型町家の解体を未然に防ぐため、所有者と行政が関わり安易に解体されない仕組みを構築する必要があるとした。
平成の京町家は環境面やコスト面での利点を分かりやすく周知するとともに、平成の京町家を取り入れた新築住宅の普及を評価する指標の設定などが必要とした。
Aでは、都市再生機構などの団体と連携しニュータウンの再生など既存ストックを活用した次世代の居住促進策を講じ、定住人口の増加を目指すべきとした。特に洛西及び向島ニュータウンなどの大規模な公的賃貸住宅団地は、団地内部だけでなく周辺地域も含めたコミュニティの活性化、居住環境の改善を図り、団地再生・ストック活用方策が必要とした。
人口減少社会の到来を念頭に、エコ・コンパクトな都市構造の実現を踏まえつつ、住宅政策と都市政策との融合を図りながら、居住機能や福祉・医療・商業等の都市機能の立地などについて中長期的な視点で検討する必要があるとした。
Bでは、京都が被災した場合の仮設住宅の建設など応急対応、その後の住宅再建に関する対応、住宅再建計画の策定等について早急に検討していく必要性を指摘。災害発生から復興までを想定した住宅供給シミュレーションを行うべきとした。
Cでは、市営住宅について、これまで重点的に取り組んできた高齢者施策だけでなく、若者世代、新婚・子育て世帯の困窮者に対する施策が求められるとした。
多くの住棟が更新時期を迎えることになる市営住宅では、その再生について当面は現状の管理戸数を維持しながら、既存ストックをできるだけ活用すべきとした。一方で、将来的な都市構造の展望を見据え、中長期的な視点から既存団地の再編成についての考え方や民間賃貸住宅との役割分担を含めて、市営住宅ストックを今のような形で維持していくべきか否か継続して検討していく必要があるとした。
市営住宅は周辺地域も含めた活性化に向けて、団地再生におけるPFI等の民間活用の導入について引き続き検討を進めるよう求めた。