長谷川砂利(十日町市下条1丁目60番地 長谷川茂徳代表取締役)では、建設残土の再資源化に取り組んでおり、残土処分の容易さと生産される高品質な改良土が評価され、年々受入量および出荷量を増やしている。
同社では、国が進める循環型社会の実現に向けて、限りある資源の有効活用を目的に掲げた2つのテーマ「自然を守る」、「地域の整備」を実現するため、04年度に建設残土リサイクルプラントを竣工した。
同プラントでは、石灰系の固化材を残土に混合し性状を化学的に改良する「安定処理工法」で改良土を生産。高い混合性能のため品質のばらつきが少なく、固化材をサイロからかくはん機に直接添加するため、粉塵の飛散が少ないことが特徴。また、自走式土質改良機も整備しており、高品質な改良土はそのままに、省スペースでの現地改良作業を実現。粉塵の飛散を抑制し、環境負荷も低減した。
プラントが竣工した年の10月に中越地震が発災し、05年度には地震関連の災害復旧工事から約3万4000立方メートルの残土を受入れ、約3万2000立方メートルの改良土を出荷した。また、11年度に発災した豪雨水害では、行き場を失った河川はんらん土砂1万5000立方メートルを行政の要請により、短期間で大量に受入れ、分別・改良作業を行い、早期復旧に寄与した。現在は民間の建築・土木、新設下水道工事から出る残土を主に受入れ、道路改良の盛土材や建築・土木工事の埋戻し材などとして出荷している。
同社の長谷川吉徳専務取締役は、建設残土のリサイクルは公共・民間事業ともに伸びしろがあると分析する。「当地域で発生する建設残土は、山間地に運び込まれるケースが多いのが現状。建設残土をリサイクルして、さまざまな工事で使用することにより、新たな土砂開発を低減することができ、豊かな自然を守れる」と強調。「建設業界のイメージアップにもつながり、やりがいのある仕事や安全安心な暮らし、豊かな自然を子どもたちに残すことができる」とし、「環境への意識が高い発注者は、建設残土の活用を配慮した経費を初めから考慮している。その数が今後、スピード感を持って増えるだろう」と期待を込めている。