石川県、公益財団法人いしかわ農業総合支援機構(県や市町、JA県連らが出資)、コマツ、今年4月から能登町で営農事業を始めたワールドファーム(本社・茨城県つくば市谷田部3395番地1、上野裕志代表取締役)の4者は、能登町の耕作放棄地において農地再生に向けた実証実験に乗り出す計画だ。
能登地方では世界農業遺産認定やのと里山海道の無料化を呼び水に、ワールドファーム、スギヨ、ミスズライフといった企業が営農に参入したり、規模を拡大している。このうちワールドファームは「能登町アグリビジネスユートピア推進計画」と銘打ち、今年4月から能登町立壁や四方山地区の優良農地(一部耕作放棄地含む)10ヘクタールにおいてキャベツを生産しており、来年4月からは南西側の耕作放棄地10ヘクタールを農地に再生して作付けに入る予定という。
ただ、能登地方特有の赤土は一旦耕作をストップすると固く締まり、生産性の高い農地へ戻すまでに3〜5年の期間、1ヘクタールあたり350万円もの費用を要するという。
これを受け県では能登への更なる営農企業参入や規模拡大を促すために、今回、県農業活性化に関する包括連携協定を締結しているコマツらの協力を得て農地再生に要する期間およびコストの縮減を目指す。
能登の赤土は20センチ程度しか掘り起こせない従来のトラクターでは対応できないことから、30センチ程度までの深堀りが可能なリッパーと呼ばれるアタッチメントを取り付けた同社製のブルドーザーを活用。これにより農地再生までの期間を1〜2年、コストを1ヘクタールあたり200万円以下まで半減させる手法の確立を目指すとともに、実証に基づくマニュアルを作成する。
県は9月補正予算案に関係事業費を計上しており、議決されれば早々に再生工事に取り掛かり、来春の作付けに間に合わせる。
なお、ワールドファームでは17年4月にさらに農地を10ヘクタール追加するとともに、新たに加工工場を建設する計画。工場では野菜をカットしたり、冷凍、乾燥を施して出荷する。これに加えて植物工場や大規模ハウス栽培、人材育成センター、食品メーカーとの契約拡大、奥能登の他市町での事業展開も視野に入れている。