建通新聞社(神奈川)
2015/09/04
【神奈川】次期「かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画」に意見書
水源環境保全・再生かながわ県民会議(座長・田中充法政大学社会学部長)は1日、県に対して、『次期「かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画」に関する意見書』を提出した。実施方法の工夫や、必要に応じての目標の見直しを提言。具体的には、土壌保全対策への土木的工法導入などを求めた。県は、この意見書を参考として、2017年度からの次期5カ年計画の検討に着手する。
「かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画」は、豊かな水を育む森と清らかな水源の保全・再生のために、5カ年で充実・強化して取り組む特別の対策をまとめたもの。県民会議は、計画に示された12の特別対策事業について、実施状況を点検・評価し、その結果を県民に情報提供する役割を担っている。
現行の第2期実行5か年計画(12〜16年度)が4年目となり、県が今後次期計画を検討する予定であることから、それに先立ち、県民会議が次期計画の方向性を取りまとめた。
方向性に示す基本的考え方としては、次期計画の策定に当たって、これまでの成果と課題を検証し、実施方法の工夫を図るとともに、必要に応じて今までの目標の在り方を見直すことが重要とした。また、水源保全区域の全体を見据えて、さまざまな対策を相互に連携させ、良好な水環境づくりを進めていく必要があるとした。
計画期間は、現行と同じく5年間(17〜21年度)。事業費規模は、現行計画と同規模を基本とすべきとする。
次期計画に盛り組む水源環境保全事業の考え方(各論)として、提言した項目は次の通り。
■森林関係事業
▽重点的に取り組んできた私有林整備に加えて、高標高域の県有林なども含め、森林全体を見据えた総合的な観点から対策を推進すべき
▽シカ管理と森林整備、土壌保全対策を組み合わせて、より広範囲で取り組む必要がある
▽災害頻発の懸念などを踏まえ、土木的工法を含めた土壌保全対策の強化に取り組むべき
▽民間主体の森林管理を誘導する
▽公的管理が終了した私有林は、管理の新たな仕組みを構築する
▽地域特性に応じたきめ細かな森林整備のために市町村も主体的に取り組める仕組みを検討
■水関係事業
▽生態系に配慮した整備を継続
▽ダム集水域での生活排水対策の一層整備促進。また、地域の事情に応じたきめ細かな支援
▽事業所などにおける大規模な合併処理浄化槽整備への支援強化
▽ダム湖下流域の生活排水について、水質への負荷軽減に向けた支援区域を拡大する
■モニタリング・県民参加の仕組み
▽モニタリングを分かりやすく明示。より総合的な観点からの評価
▽県民参加の仕組みを継続、工夫を凝らしながら発展させる
▽都市部とダム周辺部、上流・下流などでの交流を含めた啓発の取り組みを拡大
提供:建通新聞社