大阪府は、森林が役割を担ってきた災害防止機能などを維持するため、危険渓流流木対策など自然災害から府民の暮らしを守る事業と、持続的な森づくりを可能とするための基盤整備事業をそれぞれ2016年度から新たに取り組む方針を固めた。全体事業費は19年度までの4年間で約45億円を概算。
自然災害から府民の暮らしを守る事業は事業規模約30億円。危険渓流の流木対策に約20億円を充てる。渓流が急勾配で土石流が発生した場合、土砂や流木流出の恐れが高く、下流に人家や公共施設などの保全対象が多い地区を対象に災害予防対策を実施する。池田市、東大阪市、八尾市、岸和田市などの15市町村で、対象箇所は30カ所、全体面積750f。対策内容は、強度間伐と広葉樹の植栽、倒木・危険木の伐採・林外搬出、治山ダム工など。
残り約10億円は、主要道路沿いの倒木対策を実施する。国道など20路線周辺の森林150fが対象で、国道173号、同168号、同25号など25市町村が該当する。対策内容は、ナラ枯れ被害拡大を防ぐ予防的伐採や放置竹林の整備など。
持続的な森づくりを可能とするための基盤整備事業は事業規模約15億円。集約化などで一体的な森林経営が見込める地区を対象に基盤整備を行う。高槻市、千早赤阪村、河内長野市、和泉市などの9市町村にある、100f規模の人工林34地区が対象で全体面積は約4800f。20年間の長期管理協定が締結できる地区に限定し、基幹的作業道の設置や集積土場の設置、間伐材の利用促進などに取り組む。
両事業とも国庫補助制度にない整備を実施するため、財源には、森林環境税(超過課税、個人のみ対象、期間は16〜19年度、年額300円)を創設するほか、使途の明確化や効果検証を実施する考え。関連条例案や関連予算案は9月府議会に提出する見通し。
なお、15年度当初からともに検討していた都市緑化推進施策については、森林環境税との別途予算での対応を検討するとしている。
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建通新聞社