三重県県土整備部は9月3日、津市内で、「鈴鹿亀山道路有識者委員会」(委員長・松本幸正名城大学理工学部社会基盤デザイン工学科教授)第4回委員会を開き、高速道路と鈴鹿市街地を東西軸で結ぶ都市計画道路「鈴鹿亀山道路」の事業化に向けて、ルート1、2のルート案のうち、県側が提案した「市街地北部ルート」〈ルート1〉の選択を「妥当」と評価し、インターチェンジの配置案などを盛り込んだ「対応方針」と合わせて了承した。これを受けて県側は今後、意思決定を公表する考えだ。決定後、1`幅のルート帯の中で路線位置の検討に着手することになる。
鈴鹿亀山道路は東名阪自動車道・亀山ジャンクションと直轄道路事業で進める国道1号北勢バイパス(BP)の延伸部分を東西軸で結ぶ延長約10`の道路で、2004年度に調査区間に指定された。ルート案は、ルート1が「市街地北部ルート」(市街地を極力回避し、短絡で新名神高速道路と北勢BPを結ぶ案)、ルート2が「市街地通過ルート」(短絡で新名神高速道路と商業・工業地区の牧田・神戸地区、国道23号中勢BPを結ぶ案)で、いずれも1`幅のルート帯で示した。
県側は「概略計画案の選定」の説明で、ルート案の相対的な比較で「産業支援関連」、「防災関連」でルート1の優位性が高く、工事中の環境への影響、事業費、建設期間の具体的な観点でも優れていることを選定のポイントとして挙げた。第3回委員会までに示された事業費の比較では、工事・用地費を合わせて、ルート1が約540億円、ルート2が約790億円としている。
委員からは、二つのルートがともに、事業の政策目標である、産業を支える道路基盤、県内外のネットワーク、災害時の道路機能強化―の3項目を満たせるレベルであることを踏まえ、「ルート1を選択した根拠付けとして環境配慮などの面をより明確にすべき」、「産業支援関連で対象となる事業所数の明確化」など、より分かりやすさを求める質疑が出され、県側が内容の修正、補足資料の追加を行うこととした。修正後、委員の了承を得て、県としてルート案を正式に決定する。その後、都市計画決定に向けて、具体的なルート案の検討に入ることになる。
承認された「対応方針」の内容は、@概略計画案策定後の計画の詳細化A鈴鹿亀山道路の効果拡大に向けてB計画策定段階、事業実施段階における配慮・留意事項の3項目。計画の詳細化の中に、「インターチェンジの配置」が盛り込まれ、他の幹線道路からのアクセスを重視し、「おおむねの出入り口部」の設置を検討する範囲として3ゾーンを示した。対象範囲における幹線道路名として、西側のゾーンでは、国道306号、中央部のゾーンでは、県道辺法寺加佐登停車場線、国道1号、東側のゾーンでは、県道神戸長沢線、北勢BPを挙げた。効果拡大の面では、国道23号までの延伸の検討、土地利用計画の検討などを挙げた。
環境影響評価手続きの面では、11年度の環境影響評価法の改正後、道路事業の対象としては同案件が適用の第1号となり、「配慮書」の作成に当たり、構想段階で義務付けられたパブリック・インボルクメントの手続きで、100人協議会などを実施し「配慮書」手続きを進めてきた。今回のルート帯の選定を受けて「方法書」の作成に向けて準備を進めることになる。
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建通新聞社