猛烈な風と雨を伴った台風15号は8月25日午前6時過ぎ、県内を直撃した。各地で倒木や土砂崩れが発生し道路が寸断するなど、交通は一時混乱した。県内最多会員数を有する熊本県建設業協会(橋口光コ会長)の支部では、前日24日から警戒態勢に入り、台風が通過した直後に被害地へ駆け付けて、応急復旧やパトロール、道路清掃などを開始。延べ119社616人(協会まとめ)が県民生活の安定を取り戻そうと奔走した。
芦北支部(坂田信介支部長)は午前6時に災害対策本部を設置、6時20分に芦北地域振興局土木部から要請があり、支援活動を開始した。
芦北町役場に設置された風速計は午前4時27分に風速52bを観測。強烈な風雨により管内全域で風倒木による通行止めが多数発生したため、幹線道路の応急復旧を最優先に作業した。また芦北町榎川内地区と吉尾地区では土砂崩れが発生。男性1人が巻き込まれた可能性があったため、2次被害に注意しながら土砂や倒木を撤去するなど懸命の作業を続けた。
動員した会員数は、道路復旧が38社195人(26日現在)、行方不明者の捜索が3社78人(27日現在)。
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菊池支部(前川浩志支部長)は、県北広域本部土木部長からの要請を受けて、倒木で通行止めとなった熊本菊陽線(菊陽町津久礼地内)の啓開活動を行った。
午前8時、沿道の杉並木がなぎ倒され、車両が通行できなくなったとの連絡が前川支部長に入り、高田勝土木委員長をはじめ、菊陽地区の会員企業11社50人が被害地に急行した。
現場では、幹周りが最大で1・5bほどある杉の大木10数本が道約2`に渡って横たわっており、作業員はチェーンソーやバックホウ、ダンプなどの資機材を投入して撤去。通行止めは午後4時頃に解除となった。
また他地区の会員も管内の県道においてパトロールや応急復旧、道路清掃などを実施した。25日は会員企業延べ23社100人が活動を行った。
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午前7時30分、鹿本地域振興局土木部長から支援要請の電話を受けた鹿本支部(虎口正博支部長)は、直ちに警戒態勢に入り8時までに会員企業に連絡、12社48人に作業個所を割り当て、道路を塞いでいる倒木除去など応急復旧活動を実施した。一時倒木で県道10数路線が全面通行止めとなっていたが、当日中に通れるようになった。
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人吉支部(山口栄治支部長)は、球磨地域振興局の土木部長から「維持修繕業務の委託企業で対応できない場合は、会員で協力してほしい」との応援要請を受けた。状況を確認し、球磨村の人吉水俣線に会員企業を派遣、JR肥薩線の那良口駅付近でチェーンソーによる倒木処理や、安全パトロールなどを実施した。
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玉名支部(津留克也支部長)は、協会本部より24日夕方に災害対応についての要請を受け、会員企業に連絡。25日からは管内市町の要請により倒木の撤去などに取り組んだ。25〜26日の2日間で21社78人を動員し、ユニック、ダンプ、フォークリフト、チェンソーなど、各社が持つ機材を使って作業に従事した。
事務局では「和水町の玉名八女線、玉名立花線での被災が多数報告されている。河川関係に異常はなかったようだ」と話している。
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荒尾支部(門田保則支部長)は、市の要請を受け、倒木除去に取り組んだ。動員数は3社56人となっている。
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上益城支部(尾上一哉支部長)は、各町の要請を受け倒木を除去した。動員数は、益城町が12社、御船町が6社55人、山都町が13社64人、甲佐町が4社123人、嘉島町1社23人(28日はボランティア作業を実施)。
〜被害把握、災害情報共有システムを活用〜
今回の台風被害で活躍したのが、熊本県災害情報共有システム。菊池支部では年一回、システムの予行訓練を実施しており、今年も約2週間前に動作手順を確認したばかり。25日は、パトロールなどを行った会員からスマートフォン等で撮影した被害地の情報32件が支部事務局に報告された。
事務局では「被害地の位置など一目で把握できた」と、迅速な対応につながったシステムの効果を評価した。
提供:
西日本建設新聞社