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建通新聞社四国
2015/09/01

【香川】四国地整16年度概算要求 床上浸水緊急対策やダム、トンネル推進など

 国土交通省の2016年度概算要求に合わせ、四国地方整備局は27日、同局関係の要求概要を明らかにした。本省の▽既存施設の最大限の活用、ソフト施策の徹底(賢く使う取り組み)▽ストック効果を重視し真に必要な事業に重点化▽地域ニーズを踏まえつつ集約・再編―の3点に留意し、四国地方が抱えるさまざまな課題を解決するため、ストック効果が最大限発揮されるよう取り組む。直轄の新規を除く主な継続事業では、徳島県の那賀川床上浸水対策特別緊急事業(加茂地区)や撫養港海岸桑島瀬戸地区海岸保全施設整備のほか、香川県で一般国道32号猪ノ鼻道路と高松地方合同庁舎(U期)に16年度も継続し推進する。愛媛県での一般国道33号の松山外環状道路インター線(古川IC〜市坪IC)整備は16年度に暫定2車線で開通する予定。高知県では仁淀川床上浸水対策特別緊急事業(宇治川)と(日下川)のほか、中筋川総合開発事業で横瀬川ダムの本体着工を目指す。
 国交省全体の一般会計要求総額は6兆6791億円で前年度の要求額に比べ15%増。要求総額に盛り込まれた公共事業関係費は前年度比16・1%増の6兆0093億円。四国地区の概算要求額は本省全体に含まれ明らかでないが、南海トラフ地震等の大規模地震による被害発生に備えるほか、昨年発生した台風等による水害・土砂災害、雪害など自然災害が頻発しているため、地域の安全・安心の確保やストック効果が最大限発揮されるよう、計画的な社会資本整備に取り組む。
 徳島県では昨年8月の台風11号による浸水被害を踏まえた再度災害防止を重点に、那賀川加茂箇所の床上浸水対策特別緊急事業の築堤事業等を進める。全体計画では本年度からおおむね5カ年で築堤護岸や一部樋門、橋梁架け替え整備や用地補償などを進める。撫養港海岸桑島瀬戸地区海岸保全施設の整備は16年度に完成の予定。
 徳島県と香川県境で整備する国道32号猪ノ鼻道路は本年度の第4四半期の入札に向け、新猪ノ鼻トンネル本体工事を公告する。16年度からはトンネルの掘削に入り継続で整備を進める。徳島県側の橋梁工事等も継続し20年度の全線開通を目指す。
 愛媛県では山鳥坂ダム建設で工事用道路と付け替え道路を継続整備し、鹿野川ダム改造で洪水吐新設などを継続する。一般国道33号松山外環状道路インター線は17年度の愛媛国体に向け、16年度は国道33号と55号間で、橋梁工事などを推進。古川IC〜市坪IC間延長1・8`の暫定2車線での開通を予定している。
 高知県でも昨年の台風12号、11号の記録的豪雨で甚大な浸水被害が発生した仁淀川宇治川箇所(いの町)と日下川箇所(日高村)で床上浸水対策特別緊急事業を16年度も継続し重点整備する。事業期間は15年度からおおむね5年間。
 宇治川箇所では排水ポンプ能力を高めるため、本年度に既存の宇治川排水機場(毎秒40d)の吐出水槽の改築と併せて、排水機場のポンプを増設(毎秒12d)するためのポンプ本体の設計を進める。16年度以降に排水機場ポンプ増設工事に着手する。
 日下川箇所では仁淀川と日下川をつなぐ約5`の放水路を新設する。本年度は高知県、日高村と調整し放水路の出入り口の調査を進めており、早期着工を目指す。
 中筋川総合開発事業では横瀬川ダムの推進でこれまでダム本体の着工に向け、付け替え道路や工事道路など準備工を進めており、16年度からダム本体に着工する予定。また、奈半利川直轄特定緊急砂防事業では18年度の完成を目指し、砂防施設の整備を継続する。現在までに最も下流側の1号堰堤は完成し中流部の2号堰堤は掘削の段階。3号堰堤は契約手続き中。
 各県別の主要直轄事業の16年度の取り組み概要は次の通り。 
【徳島県】
 ▽吉野川加茂第二箇所直轄河川改修(東みよし町)―堤防未整備個所の築堤推進▽那賀川加茂箇所床上浸水対策特別緊急事業(阿南市)―14年8月の台風11号で床上浸水等の甚大な被害を踏まえ本川、支川区間の築堤を推進▽那賀川長安口ダム改造事業の推進(那賀町)▽善徳地区直轄地すべり対策事業の推進(三好市)―地すべり防止施設の整備推進▽四国横断自動車道阿南〜徳島東(阿南市〜徳島市)―橋梁工事等推進▽一般国道32号猪ノ鼻道路(徳島県三好市〜香川県三豊市)―20年度の全線開通目指し、香川県側からのトンネル掘削や徳島側の橋梁工事などを継続▽一般国道55号阿南道路(阿南市)―19年度の阿南市那賀川町中島〜西路見町江川間の4車線化開通に向け那賀川大橋などの橋梁工事を推進▽徳島小松島港沖洲(外)地区複合一貫輸送ターミナルの整備(徳島市)―港内静穏度」の向上を図る防波堤の整備推進▽撫養港海岸桑島瀬戸地区海岸保全施設の整備(鳴門市)―堤防の耐震化・かさ上げの整備推進で16年度完成を目指す
【香川県】
 ▽土器川土器・飯野箇所直轄河川改修事業の推進(丸亀市)―引堤とそれに伴う橋梁改築、河道掘削による流下断面の増大と堤防断面拡幅等による堤防強化推進▽一般国道32号猪ノ鼻道路(徳島県三好市〜香川県三豊市)―15年度の新猪ノ鼻トンネル(延長4187b)本体着工を踏まえ、20年度の全線開通目指し香川県側からのトンネル掘削などを継続▽高松港朝日地区国際物流ターミナルの整備(高松市)―国際物流ターミナル(水深12b)を整備し12年度から暫定供用中。適正な水深を確保し岸壁機能を十分に発揮させるための航路整備を推進する▽防災拠点となる官庁施設の整備推進(高松市)―高松地方合同庁舎U期の整備継続。16年度に躯体と内外装工事を推進。概算要求額は32億円
【愛媛県】
 ▽肱川惣瀬箇所直轄河川改修事業の推進(大洲市)―堤防未整備個所で築堤事業を推進▽重信川余土・市坪箇所直轄河川改修事業の推進(松山市)―JR石手川橋梁改築事業に合わせ高水敷掘削や堤防断面確保を推進する▽肱川山鳥坂ダム建設・鹿野川ダム改造事業の推進(大洲市)―山鳥坂ダム建設では引き続き工事用道路と付け替え道路などを継続。鹿野川ダム改造で洪水吐出等の整備を継続▽一般国道33号松山外環状道路インター線(松山市)―17年度の愛媛国体に向け、16年度に国道33号と国道56号間の古川IC〜市坪IC延長1・8`で橋梁工事などを推進し、暫定2車線で開通予定▽一般国道196号今治道路(今治市)―橋梁工事など推進▽松山港外港地区国際物流ターミナルの整備(松山市)―岸壁(水深13b)の15年度完成予定を受け、岸壁機能を発揮させるため、引き続き泊地(水深13b)整備を推進、16年度の完成予定▽東予港中央地区複合一貫ターミナルの整備(西条市)―大規模地震発生時の緊急物資の輸送拠点を確保するため、耐震性を強化した複合一貫輸送ターミナル(水深7・5b)の整備を推進
【高知県】
 ▽四万十川具同・入田箇所直轄改修事業の推進(四万十市)―堤防の断面拡幅と市道具同三里線改築を合わせて実施▽仁淀川宇治川箇所床上浸水対策特別緊急事業の推進(いの町)―国、高知県、いの町連携による浸水対策を推進▽仁淀川日下川箇所床上浸水対策特別緊急事業の推進(日高村)―国、高知県、日高村連携による浸水対策を推進▽中筋川総合開発事業横瀬課ダムの推進(宿毛市)―横瀬川ダムの早期完成を目指し建設事業を推進▽奈半利川直轄特定緊急砂防事業の推進(北川村)―短期間で土砂災害対策を推進し砂防施設整備を継続。18年度の完成を目指す▽高知海岸長浜工区直轄海岸保全施設整備事業の推進(高知市)―海岸堤防の耐震・液状化対策を推進▽一般国道55号高知南国道路(高知市〜南国市)―20年度の全線開通に向け橋梁工事等を推進▽一般国道56号片坂バイパス(四万十町から黒潮町)―18年度の全線開通に向けトンネル工事や橋梁工事などを推進▽高知港三里地区国際物流ターミナルの整備(高知市)―港内静穏度の向上を図るため防波堤の整備を推進▽須崎湾港地区で津波に対する減災機能を発揮させるため防波堤の改良を推進

提供:建通新聞社