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北陸工業新聞社
2015/09/01

【富山】かぐてんぼう隊が初出動/高齢者宅で家具固定作業/建築士会富山支部

 富山県建築士会富山支部(山本幹史支部長)の会員による「かぐてんぼう隊とやま」が発足し、8月30日に出発式を行い、初出動した。地震時の家具転倒防止対策をボランティアで行うもので、この日は2軒の高齢者宅で家具の固定作業に取り組んだ。
 家具転倒防止にちなんで命名された、「かぐてんぼう隊とやま」は、富山支部の会員20人が隊員となり編成。今回、富山市の総曲輪地区自主防災会(石田裕明会長)の協力を得て、県内で初めての活動を展開した。
 出発式は総曲輪地区センターで行われ、隊員と自主防災会のメンバー計22人が参加。冒頭、自主防災会の石田会長が、「阪神・淡路大震災では、家屋倒壊の被害がないにもかかわらず、家具の転倒や散乱で、多くの方がけがをされた。総曲輪地区では高齢化が進んでおり、今回は特に70歳以上の世帯を中心に、家具の転倒防止対策を実施することになった。今日を契機に安全安心で震災に強いまちづくりを目指したい」とあいさつ。
 続いて、富山支部の山本支部長は、「東日本大震災を経験し、私たち建築士は何かやらなければとの思いで、さまざまな事業を行ってきた。5月には、家具転倒防止の活動を10年間続けている愛知県の一般社団法人わがやネットの代表者を招き詳しく手法を学んだ」と経緯を説明し、「高齢者では、なかなか家具の固定作業はできない。富山県は震災の被害が少なく、対策が進んでいない現状を危ぐしている。本日は第1回目だが、今後も活動を続けていきたい」との決意を述べた。
 隊長に任命された根塚三起生氏は、「隊の名前が知れ渡り、簡単な施工で家具が固定できることが一般的になれば、この活動は有意義なものになる。建築の専門家として、親切に安全にけがのないように実施しよう」と出発を宣言した。
 隊員はその後、3人構成の2班に分かれ、事前申込があった2軒を訪問。このうち、丸の内2丁目の高齢者宅では、壁下地の柱の状況をセンサーで調査した後、補助材を壁に設置。L字型金具をビスで固定し、タンスを固定した。
 同隊では5日、残る3軒でも同様の作業を行った後、報告会を開くことにしている。
 なお、隊の活動対象は70歳以上の高齢者宅で、居間や寝室など常に使用している部屋にある食器棚や本棚、タンスなど1軒当たり数台程度。費用は固定に必要な金物代実費と他に諸費用2000円。希望があれば、住宅用火災報知器も同時に設置する。
hokuriku