トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

日本工業経済新聞社(山梨)
2015/08/26

【山梨】来年度から防火水槽や消火栓整備 甲州市の上条集落保存

 甲州市は24日、伝統的建造物群保存地区保存審議会を開き、上条地区の重伝建選定までの経過や今後の計画を審議した。来年度から着手を見込む防災事業は2017年度実施設計、18〜19年度施工のスケジュールを組んでいる。
 会議では、本年7月8日に全国110地区目の重要伝統的建造物群保存地区に選定された、市内塩山下小田原の上条集落のそれまでの経緯を市当局が説明。「茅葺集落がコンパクトに残っている点が高い評価を得ている」との委員からの意見も添えられた。
 もう一方の議題となった今後の計画に関しては、年度内に説明板などの設置を行い、来年度から防災事業などに取り組む予定を市側が示した。
 説明板の設置は大型のものを2枚見込んでいるほか、案内標識を区域内に整備する方針。これに伴う費用は9月補正で対応し、10月に設計、11〜12月に施工するスケジュールを立てている。
 防災事業は16年度からの4カ年を期間としており、前半の2カ年で計画を策定するとともに設計を仕上げ、後半2カ年で工事を進める。内容は火災や地震、台風に対する備えとなる。
 このうち火災への対策は防火水槽、消火栓の整備・設置が主となり、計画されている水道事業の進ちょく状況によっては、独自の水源確保が必要となる可能性も指摘された。山間地である点から、地震や台風を考えた場合は土砂崩れを想定して対策を練っていくこととなる。
 防災と並行して、公有化および修理・修景事業へも取り組んでいく考えで、公有化は、現状住人がいない2棟およびNPO法人が管理している情報館を市として買い取る方針とした。
 委員からは「噴霧機能の付いた消火栓」「集落全体が見渡せる場所に展望台」などの要望とともに、施工時期の前倒しを望む声も出されていた。
【写真:パンフレットに記されたビューポイントからの眺め。茅葺切妻造主屋などの建造物が並ぶ】