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建通新聞社(神奈川)
2015/08/26

【神奈川】神建協と関東地整が意見交換 改正品確法「適切実施へ フォローアップ」

 神奈川県建設業協会(神建協)と国土交通省関東地方整備局、神奈川県、横浜市、川崎市、相模原市との意見交換会が、25日に横浜市内で開かれ、公共工事の受・発注者双方の立場から、入札・契約にかかわる諸課題やその対応などについて話し合った。神建協側は、@地域建設事業者を対象とした公共工事の拡充A「地元企業への安定的な発注」をはじめとする入札契約制度のさらなる改善B建設人材確保の取り組みC改正品確法運用指針の市町村への指導・徹底D技術者配置要件および技能検定試験の受験資格の緩和―を要望。関東地整側は、改正品確法運用指針の周知について、発注者協議会を通じて情報を共有していくとともに、適切な実施に向けてのフォローアップ調査、公表を行う方針を伝えた。
 関東地方整備局の田昌行副局長は、「改正品確法の理念を現場で実現するため、各発注者と緊密に連携していきたい」との認識を示すとともに、想定される巨大地震や多発する自然災害について、「産学官一体で対応すべく重要な課題だ」と述べ、防災・減災の取り組みに対して協力を求めた。
 神建協の小俣務会長は、「県内業界はまだまだ疲弊した状況から脱していない」と述べるとともに、「国から市町村に至るまで、地域に貢献している建設業者が受注しやすい仕組みが整わなければ、今の厳しさから抜け出すことは困難」と指摘。担い手確保を主眼とした入札契約制度への改善や改正品確法運用指針の全市町村への徹底などを強く求めた。
 神建協は、「入札契約制度のさらなる改善」の要望の一つとして、低入札価格調査制度の運用改善を要望した。具体的に、「調査対象案件となった場合、決定までに長時間かかることが、次の案件の応札の支障になっている」と説明。開札後、少なくとも参加者には、応札順位を通知してもらえるよう見直しを求めた。
 これに対して関東地整は、該当案件について「入札後速やかに調査を終了するよう心掛けていく」と述べるとともに、「応札者側からすれば、一日でも手続きが短い方がいいと思う。指摘を踏まえ、今後研究していきたい」と回答した。
 担い手育成の面では、神建協側が、若手技術者の確保対策の一つとして、技術検定試験の受験要件の緩和を要望した。
 関東地整側は、14年度から1級技術検定資格の実務経験の年数短縮、15年度からは、若手受験者の利便性向上のため、2級施工管理技術検定試験の学科試験の試験地区を拡大していることなどを説明した。さらに、16年度の2級の全ての技術検定試験について、「実務経験なしで学科試験の受験が可能になるよう検討している」とした。その上で、「今回の見直しによって、若手受験者の早期受験が可能になる。建設業界への就職支援と若手技術者の早期離職の防止に役立てたい」と述べた。



  ◇ ◇

 このほかの神建協の要望事項と回答の趣旨は次の通り。
■地域建設事業者を対象とした公共工事の拡充
 「必要な公共事業予算を安定的・持続的に確保するよう努める。地域に密着した工事で、総合評価の地域密着工事型を積極的に実施する」
■調査基準価格の引き上げ
 「08年3月以降、13年5月にかけて計4回の改定を行い、13年5月の改訂では従来の一般管理費参入率30%を55%まで引き上げた。調査基準価格の変更については、十分な検討を要する事項と考えている。また、実態に即した予定価格の設定など、企業の適正な利潤確保に努める」
 
■実勢価格を適正かつ早期に反映した積算の徹底
 「労務費や資機材価格の急激な変化に対応し、契約金額の見直しができるよう、14年2月からインフレスライド条項が活用できるようになり、他のスライド条項を含め、積極的に活用するよう受注者に情報提供している。『見積もりを活用する積算方式の試行』を行うなど、実態に即した実態に即した予定価格の設定に努める」

■指名競争入札の導入
 「競争参加者の応募状況などの確認を行い、調達方式については適切に決定する」 

■工事の分割発注など発注単位の引き下げ
 「工事内容や現地条件を踏まえた発注ロットの工事発注を行っている」 
■同種工事実績の運用改善
 「関東地整では総合評価方式で企業および配置予定技術者の技術力の評価について、『同種工事の実績』『工事成績』『表彰』などの実績がなくても技術力がある企業ならば、受注可能な『技術提案チャレンジ型』を実施している」

■自治体実績評価型および地域防災担い手確保型の対象工事の拡大
 「13年度から『自治体実績評価型』を試行。企業の防災にかかわる取り組み姿勢や活動実績を評価する『地域防災担い手確保型』の試行を14年度から実施。なお、評価対象となる災害活動実績について、14年度までの過去3年間から、15年度に過去5年間に拡大した」
 
■優良工事表彰および安全管理優良受注者表彰の評価期間の延長(現行1年)
 「競争性に配慮し、適切に評価を実施」
 
■建設人材の確保、建設業のイメージアップに向けた総合的な対策の推進
 「策定した広報戦略に基づき、広報スキル向上のための人材育成強化、広報のPDCAサイクルを回すための効果検証の充実、現場見学会の実施、広報活動の取り組み事例の共有・ベストプラクティスの表彰などを実施」
 
■技術者の配置要件の緩和
 「監理・主任技術者の専任配置が必要な請負代金額の緩和については、物価上昇、消費税増税などを踏まえ、具体的な引き上げ額を検討し、今年秋ごろをめどに政令を改正する予定」