丸紅株式会社(東京都千代田区大手町一丁目4の2、國分文也取締役社長)、株式会社大林組(東京都港区港南二丁目15の2、白石達代表取締役社長)、エコ・パワー株式会社(東京都品川区大崎一丁目6の1、荻原宏彦代表取締役社長)は、(仮称)秋田港洋上風力発電事業と(仮称)能代港洋上風力発電事業の計画段階環境配慮書の縦覧を開始した。秋田港は最大総出力70MW、能代港は同100MWを想定している。
両港の事業実施想定区域は、昨年12月に実施された「秋田港及び能代港における洋上風力発電事業者公募」における各選定海域を含む港湾区域内。秋田港は616ha、能代港は626haで、いずれも漁業権の消滅した海域。
秋田港の区域には近隣に秋田火力発電所や港湾施設、各種工場などがあり、区域に近く最も海側にある集落は東側約1.3kmに位置する土崎港古川町地区。風力発電所の総出力は70MWで、3,450から7,000kW級の風車を最大14基配置することを想定している。
一方、能代港の区域には近隣に能代火力発電所、港湾施設、保安林などがあり、区域に近く最も海側に位置するのは米代川河口付近の能代町日和山下地区。風力発電所の総出力は最大100MWで、3,450から7,000kWの風車を最大20基配置することを想定している。
いずれの事業も指定された海域内での事業実施が要件となっており、環境配慮書の段階では風車設置位置の複数案を設定することは現実的に難しいため設定しておらず、構造(基礎構造、風車機種)や規模(出力)の複数案を設定している。
両港の風車機種は、現在陸上風車で主流となっている2,000kWから3,000kWクラスの風車よりも規模の大きい、3,450から7,000kWクラスの使用を想定。
いくつかの国内外メーカーが同規模クラスの風車を製作しているため、現時点では6機種(単機出力3,450kW、3,600kW、4,000kW、5,000kW、6,000kW、7,000kW)を参考にしている。ブレード枚数はいずれも3枚、風を受ける向きは5,000kW機種のみがダウンウィンド式で、ほかはいずれもアップウィンド式となっている。ローター直径は最小112、最大164m規模。
風車の基礎構造は、水深30mよりも浅い砂質の海底面に適していると言われるモノパイル式と、水深50mまでの海底面に適したジャケット式が比較されている。モノパイル式は杭打ちの際に騒音や振動の影響が考えられており、ジャケット式は底質についてモノパイル式よりも応用性があり、杭打ちもモノパイルに比べ静かだが、杭の本数が多くなり、同様に騒音や振動の影響が考えられるとされている。
例えばモノパイル式とした場合の工程計画は、深浅測量や土質調査から始まり、杭打船資機材の積込工、モノパイル打設工、SEP船資機材の積込工(ブレード、ナセル、ハブなど)を経て各施工場所へ移動。この間、秋田港では不発弾探査工も想定されている。
その後、ジョイントスリーブ、ボトムタワー、電気モジュール、ミドルタワー、トップタワー、ナセル・ハブ、ブレードの各設置工を進めて風車組立を完了させ、電気防食設置工や陸上ケーブル陸揚工、ケーブル敷設工、同埋設工、砕石ネット設置工を実施する。
具体的な風力発電施設の配置や送電ルート、搬入方法、工事方法、基礎構造などについては、配慮書段階の意見や今後実施する海底調査等の結果も合わせて検討。事業実施主体は今年度中に設立される特別目的会社(SPC)に移行する予定。
県は本県の再生可能エネルギー導入拡大や、県内産業の振興を見据え、国が策定した港湾の風力発電に関するマニュアルに従い、昨年1月から3月にかけて「秋田港・能代港再生可能エネルギー導入検討協議会」を計3回開催。秋田港と能代港で洋上風力発電に適したエリアの選定や、事業化を検討する際の必要調整項目などを決定し、同年11月の国土交通省第58回港湾分科会で両港における港湾計画の一部変更が承認されている。
昨年12月には導入検討協議会の協議結果をもとに、両港で洋上風力発電を行う事業者の公募・選定が行われ、今年2月に丸紅を代表とするコンソーシアムが実施事業者として選定されている。
提供:秋田建設工業新聞社