日本工業経済新聞社(群馬)
2015/08/24
【群馬】群建協が緊急アンケートの結果を公表
県内の公共工事量が減ったとの声を受け、群馬県建設業協会(青柳剛会長)は、会員を対象に緊急アンケートを実施した(7月30日付に一部既報済み)。第1四半期の受注高と昨年度同期を比較したところ、6割以上の会員が減少と回答した。現在の状況がこれからも続いた場合の本年度受注見通しについて聞くと、国、県、市町村発注共に「2割減」が4割以上も占めた。東日本建設業保証の公共工事前払金保証取扱高からも、道路や下水道といった地域密着型の工事請負額が昨年度より2割以上減っている厳しい結果が出ている。
アンケート調査は、会員と地区会員を合わせた342社へ7月16日から21日にかけて実施。このうち、315社から回答があった(有効回答率92%)。
それによると、本年度第1四半期の受注高を昨年度同期と比較したところ、6割以上の会員が減少と回答。建築Bにおいては、減少と答えた会員が8割近くに上った。現在の状況が今後も続いた場合の本年度受注見通しについて聞くと、国、県、市町村発注共に「2割減」が4割以上を占め「受注ゼロ」といった厳しい見通しの回答も1割強あった。受注高の減少に対する経営サイドの対策について聞いたところ、賞与の削減や職員給与の削減、新規採用の休止・削減などを挙げた。少数ではあるものの、中には「3年以上の賞与カット」や「遠距離通勤の仕事などを探す」といった意見もあったという。
また、同協会は追加で国や県、市町村などが公表した本年度の発注見通しから試算した工事受注見込額を昨年度の受注実績と比較する調査を実施。1割以上減少すると回答した会員が全体の7割以上に上った。
さらに、同協会は、東日本建設業保証が取りまとめた、県内における公共工事前払金保証取扱高のデータから見た4月から7月の工事請負金額を昨年度、一昨年度と比較。土木・建築の全工事は、昨年度と比べて12・8%の減少。
とりわけ、災害対応や除雪を担う地域に密着した企業が主に受注する治山治水や農林水産、道路、下水道、公園、上工業用水道の工事請負金額については、昨年度より21・7%も減少している。
本紙でも7月23日付で既報したとおり、本県への農山漁村地域整備交付金の配分が要望額の64%にとどまっている現状にある。青柳会長もこうした厳しい状況を踏まえ、緊急アンケートを実施するとともに、20日には自由民主党の総務会長で、国土強靭化総合調査会長の二階俊博衆議院議員と政務調査会長の稲田朋美衆議院議員のもとを訪れ、補正予算の早期編成、来年度当初予算における公共事業費の増額などを強く要望したところ。
青柳会長は「このまま行けば、除雪や台風、集中豪雨などの自然災害の応急対応の責務を負っている地方の建設業者の経営が一層厳しくなる」と懸念。受注高が大きく減少することは、災害対応はもちろんのこと、業界が最優先に掲げる担い手対策にも大きな影を落とすことになる。