県県土整備部住宅課は、「第3次千葉県住生活基本計画策定検討会議」の初会合を18日に千葉市内の京葉銀行文化プラザで開催した。会議では、第2次計画の進捗や県の住宅事情、会議のスケジュール、検討の方向性について事務局などが説明し、委員に意見を求めた。検討会議は年度内に4回の委員会を開き、素案をまとめ、来年度で計画を策定する。
会議は、県の住宅事情及び住宅をとりまく社会情勢を踏まえ、住宅施策の基本的な方針、施策体系及び目標、目標達成に必要な具体的な施策などについて検討する。会議の委員は学識経験者3人、民間有識者6人、公的機関4人の合計13人で構成。座長にはNPO法人ちば地域再生リサーチ理事長で千葉大学名誉教授の服部岑生氏が就任した。
会議に先立って県県土整備部の伊藤稔都市局長が「急激な人口減少が現実のものとなっており、空家の問題も深刻さを増している。本年5月には空き家対策特別措置法が完全施行され、さらなる取り組みが求められている。子育て支援も待ったなしから、これらの問題について各分野から意見をいただきたい」とあいさつ。
会議では、コンサルタントが県の住宅・住環境を取り巻く動向について、@人口・世帯の概況A住宅事情B住意識C住宅市場の動向――の4項目から説明。人口・世帯の概況では人口・世帯の減少、住宅事情では空き家の増加、省エネルギー設備の設置率の低さ、バリアフリー化水準の低さ、築年の古い大規模団地の存在、公営借家と民営借家の家賃負担率の格差などが挙げられた。また住意識では、高齢者などへの配慮やバリアフリー化に対する不満が高いことが示された。
これらの住宅環境を取り巻く状況を踏まえ、今後の取り組むべき課題として、@豊かな地域社会の実現A良質な住宅ストックの形成B良好な居住環境の形成C住宅市場の環境整備D住宅セーフティネットの確保E地域特性に応じた施策の展開――の6項目を抽出。
計画の策定に当たっては、@良質な住宅の供給及び既存住宅ストックの利活用A社会的弱者への重層的かつ柔軟な住宅セーフティネットの構築B千葉県の地域特性や居住ニーズを考慮し、地域を活性化させるための取り組み――の3つの視点から検討を行うこととした。また、全国計画や県内の住生活に係る状況を加味し、「分野別目標」を設置。必要に応じて再構成(変更)することや、成果指標の進捗状況を判断できる観測指標の導入も検討する。
第3次計画は、県の「新輝け!ちば元気プラン」や策定作業中の県の地方創生総合戦略を踏まえて、全国計画などの動きを見ながら策定作業を進めていく。
計画期間は2016〜25年度。計画には、@施策の基本方針A目標、施策概要等B公営住宅の供給量目標C住宅・住宅地の重点供給地域――などを盛り込む。
次回は11月に開催し、検討テーマと方向性、検討テーマに係る具体策について検討する予定。
なお、コンサルタントは市浦ハウジング&プランニングが担当している。
今後の取り組むべき課題は次の通り。
▽豊かな地域社会の実現=@高齢者が安心して暮らせる住宅・住環境の形成A若手子育て世帯の定住を促す住宅・住環境の形成B住宅地におけるエリアマネジメントの推進▽良質な住宅ストックの形成=@良質な住宅供給の誘導A住宅性能(耐震性、省エネ・省CO2、バリアフリー等)の確保B適切な維持管理・リフォームの推進C分譲マンション等の適切な維持管理・再生に向けた支援の充実▽良好な居住環境の形成=@安全・安心な住宅市街地の形成A個性ある美しい住宅市街地の形成B自然環境や地域資源を活用した、田園居住や二地域居住等の促進▽住宅市場の環境整備=@市場を活用した既存住宅の流通の促進A賃貸住宅市場の環境整備B県民の住意識・居住ニーズの向上C空き家の発生抑制、利活用の促進▽住宅セーフティネットの確保=@住宅確保要配慮者に対応する適切な住宅の確保A民間賃貸住宅を活用した居住の安定確保の推進B災害の被災者等に対する適切な住宅の確保▽地域特性に応じた施策の展開=@市町村による取り組みの推進、支援の強化A庁内関連部局や民間事業者等との連携強化