市川市の二俣地区国家公務員宿舎跡地約10haの利活用について検討を重ねてきた市川市二俣地区まちづくり推進協議会は、同跡地利用の基本的な考え方を取りまとめた。それによると、立地環境や市川市の都市計画マスタープラン等に基づき、流通業務地区の維持・形成を図ることを基本とする。こうした考え方を踏まえて、今後、地区計画や開発行為等の手法を確定し、国が2016年度末までに同跡地を売却処分する予定。
二俣地区国家公務員宿舎は、市川市の南東部に位置し、JR京葉線二俣新町駅や東京湾岸道路及び京葉道路に隣接した面積約10haの区域。用途地域は準工業地域で建ぺい率60%、容積率200%。
敷地規模が大きいため、市のまちづくりに与える影響も大きいとして、財務省関東財務局は県、それに地元の市川市とともに市川市二俣地区まちづくり推進協議会を昨年度設置し、検討を重ねてきた。
地区の課題としては、同跡地へのアクセス道路が十分でないことや、下水道が未整備といった都市基盤面での課題以外に、準工業地域であるため将来的に用途が混乱し住・工混在を招くおそれがある、小学校が隣接しているため教育環境への配慮が必要となることなどが挙げられた。
こうした課題点や市の都市計画マスタープランを踏まえて、まちづくり推進協議会では跡地利用に関する基本的な考え方をまとめた。
その内容は、同跡地が東京湾岸道路や外環道(建設中)など広域ネットワークに隣接し、周辺には大規模な流通業務施設が多く立地していることや、民間企業に対する需要動向ヒアリング調査の結果を踏まえて、二俣地区の活力向上に寄与し、周辺企業の操業環境に悪影響を及ぼさない利活用を誘導するというもの。
このため、市の都市計画マスタープランで地域づくりの基本方針とした、交通の利便性を生かした流通業務地の維持・形成を図ることを基本とする。
また、小学校等が隣接していることから、通学や学習環境にも悪影響を及ぼすことがないように、都市計画で定める緑地や道路などを適宜配置。さらに土地利用を誘導するにあたっては、市の都市計画マスタープランの地域づくりの方針に適合するよう、都市計画法で定める地区計画や開発行為等の制度を適切に運用するとしている。
今後、この基本的な考え方を踏まえて都市計画の手法を確定するとともに、跡地の処分時期を含む全体スケジュールを作成する。その際、売却処分までの間は必要に応じて同協議会で協議を行い、調整を図ることにしている。