産学官連携建設業人材確保育成協議会 15年度初会合 富士教育訓練C、宮崎産業開発青年隊など活用 産学官連携建設業人材確保育成協議会(事務局・長崎県建設産業団体連合会)は5日、本年度初めての協議会を開催。本年度の人材確保育成に向けた取り組みとして、技能者や技術者の教育訓練システムを構築する方針を示した。
技能者の教育訓練システムは、建設産業担い手確保・育成コンソーシアム(事務局・(一財)建設業振興基金)が進める「地域連携ネットワーク構築支援事業」と、振興基金が厚生労働省から受託した「建設労働者緊急育成支援事業」により実施。専門工事業者の新規入職者と未就業者を対象にしたもので、まず鉄筋工で実施。既に先月、教育訓練を担当する指導者を養成する講師の養成を富士教育訓練センター(静岡県)で行った。引き続き、富士教育訓練センターと連携してカリキュラムの作成や教材の調達を進める。並行して、長崎労働局と連携し、人材を送り出す企業への助成制度の導入や人材確保の在り方を検討。11月には、(公財)長崎県建設技術研究センターを会場に、教育訓練の開始を目指す。
一方、技術者の教育訓練システムは、新規入職者のみを対象にしたもの。具体的な教育訓練は、宮崎県産業開発青年隊を活用して進める計画だ。ここでも、長崎労働局と連携して助成制度の活用策などを検討する。
同事業では、離島での建設業人材確保育成システムの構築も計画。県内の離島に工業高校がない状況を踏まえ、「離島の中学生を県内工業高校の建設系学科で学ばせるための奨学金制度の構築」や「離島の建設業に入職した地元普通高校卒業生の教育訓練の仕組み・特別助成制度の導入」などを検討する。
これらは地域連携ネットワーク構築支援事業で進める。
人材の確保育成策としては、▽工業高校生の現場実習▽高校就職説明会▽高校生現場説明会▽建設企業紹介冊子の作成▽建設業ガイドブックの配布▽業界団体による高校などへの出前講座の支援▽テレビCMの製作―などにも引き続き取り組む。
5日の協議会ではこのほか、事務局をはじめ、長崎大学、長崎工業高校、建設技術研究センター、長崎労働局、長崎河川国道事務所、長崎県土木部といった各構成団体がこれまでの取り組み状況を報告。
入職促進事業で50人が入職 このうち、建産連では、前年度に取り組んだ「建設業入職促進事業」の成果測定アンケート結果を紹介。アンケートに回答した建産連会員が前年度新規に採用したのは117人。このうち50人が促進事業による入職者だった。促進事業に基づくどの取り組みで入職したかを見ると、テレビCMが17人(未就業者8人、学卒者9人)、高校就職説明会11人(学卒者のみ)、工業高校への出前講座9人(学卒者のみ)、PRパンフレット7人(未就業者のみ)―となっている。
長崎工業高校は、7月末現在の県内工業高校5校の求人票の状況を報告。求人票の総数は3943で、前年同期比3割増。一昨年と比較するとほぼ倍層している。このうち県内企業からの求人票は837で、一昨年の倍以上の数となった。協議会の場などを通じて前年度から働きかけてきた成果もあり、今年は特に、県内企業の求人票の提出タイミングが早かったという。
長崎河川国道の木村康博所長は、業務・工事での女性・若手技術者の登用試行状況を説明。委員からは、国の試行が県・市町に拡大することを期待する意見が出た。県側は女性活用の重要性を認めつつも、県内企業に女性技術者が少ないことなどを挙げ、早急に導入することは現実的でないとの考えを示した。