静岡県島田土木事務所は、検討を行っている牧之原市の相良海岸へのレベル1対応津波対策について、相良須々木海岸で2015年度内に仮設工に着手する見通しだ。
今回の事業は、同事務所が進めている地震・津波対策アクションプログラムの一環。牧之原市内の海岸への津波対策の検討は、同事務所が管理を行っている相良新庄海岸・相良須々木海岸・相良片浜海岸を対象に進められている。現況堤防の耐震性能照査、堤防嵩上げ位置や構造形式などを検討する概略検討を行い整備方針を設定した。現在では、施工後の堤防の景観・利用の対策なども含めた嵩上げ・液状化対策の詳細設計を進めており、それに合わせて地域住民への説明・意見把握を行っている。
県の牧之原市内の防潮堤整備方針としては、堤防嵩上げの位置(防護ライン)について、嵩上げの高さはレベル1津波高とする他、現況堤防背後の国道150号に影響がある区間は、既設堤防の海側に嵩上げを行い、砂浜がある場合は砂浜保全を図るよう、嵩上げ位置を陸側に調整するなどの方針を示している。
また、堤防の構造形式としては、既設堤防を活用し、前面の構造は直立堤、背後は粘り強い構造とする他、陸側の法面については景観対策として緑化などを行っていく。
今回、15年度内の着工を目指している相良須々木海岸は、砂浜が無く、背後地に国道150号が通っているため、海側への嵩上げを実施する。方法としては、現況堤防の前面に盛り土を行い、先端部分に擁壁コンクリートを設置するものを想定している。同海岸の現況堤防高は6・2b〜7・2bで、レベル1計画津波高は8bから10bとされているため、施工後の嵩上げ高は約4bを見込んでいる。また、堤防天端を遊歩道として活用できるようにするため、転落防止柵の設置も実施する。
現在、同事務所では同海岸の防潮堤整備に当たり、海岸利用上の配慮として堤防への昇降路の構造・設置位置、排水・地下水対策、覆土・法面緑化など景観対策について、地域住民の合意形成を図るべく、意見交換会を実施している。8月までに3度行われた同会では図面を基に活発な意見交換がなされており、今後も継続していく方針だ。
提供:建通新聞社
(2015/8/12)
建通新聞社 静岡支社