日本工業経済新聞社(群馬)
2015/08/10
【群馬】態勢整い次第八ッ場発電所公告へ
八ッ場ダム本体建設工事にあわせ、県企業局発電課電源開発室は、本年度から八ッ場発電所の建設に着手する。現在は河川法に基づく諸手続のほか、実施設計や積算作業を行っており、これらが完了し次第、工事の一般競争入札を公告する。土木、水圧鉄管製作据付、機器製作据付の3分離で発注する。入札の参加条件は、JV編成の有無などを含めて検討中。総事業費は65億円で、ダム本体と同じタイミングでの完成を目指す。
八ッ場発電所は、長野原町川原畑の一級河川吾妻川左岸直下流部に建設する。八ッ場ダムの放流水の高低差を最大限活用し、水力発電(利水従属式発電)を行う。本年度予算には工事費7億3703万6000円を計上したほか、2016〜19年度を期間とする40億円の債務負担行為を設定している。
土木工事では、主に発電所と放水路を整備する。発電所は地下40mに埋設し、RC造の20m×25m×40m規模のものとなる。放水路は無圧式隧道(水路トンネル)となり、φ3m、L72・6mをコンクリートで固めて建設する。
水圧鉄管製作据付工事では、埋設式の鋼管φ2・2m、L50・2mのほか、超音波流量計と点検用の制水弁を1基ずつ整備する。水圧鉄管はダムの利水放流管から分岐させて建設する。
機器製作据付工事では、両掛横軸フランシス水車や横軸三相交流同期発電機を整備する。
八ッ場発電所の最大出力は1万1700kWを誇る。最大使用水量は毎秒13・6立方m、有効落差104・94m、年間可能発電電力量は4万992メガワットアワーを想定している。発電により、年間約1万5700tの二酸化炭素排出を削減する。一般家庭約1万1000軒分の発電効果につながることが見込まれている。
八ッ場ダム本体建設工事は清水建設・鉄建建設・IHIインフラ建設異工種JVが受注し、2019年度の完成を予定している。八ッ場発電所の工事もダム本体とあわせて進めていくことになるが、既にダム本体工事が始まっていることに加え、発電所建設自体も大規模であるため、難工事が予想される。発電所の実施設計は日本工営(東京都千代田区)が進めている。