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建通新聞社(中部)
2015/08/07

【三重】人件費など高騰で建設費増額へ 松阪地域特別支援学校整備事業

 三重県教育委員会は、松阪地域の特別支援学校整備事業について、人件費、材料費などの高騰に伴い、建設費の試算が約2倍に増額することを受けて設計の見直しを進めており、2014年度の時点で目指していた17年4月の開校を1年遅らせ、18年4月の開校とする方針を示した。地元の松阪市の山中光茂市長から提出された17年4月開校を求める要望書に対して、7月30日に県側が見直しの要因などを山中市長に説明し開校の時期について理解を求めた。
 事業計画を見ると、建設地は、松阪市久保町1846の「三重中京大学」敷地の旧6号・8号館、旧屋内運動場などがあったスぺースで敷地面積は約1万3000平方b。施設内容は、普通教室棟、特別教室棟、作業学習室棟、管理棟、体育館、厨房などで、合計面積は延べ約6000平方b。教室棟は鉄筋コンクリート造3階建てで、段差がある敷地形状を生かした建物形状とした。事業費は当初、15億円程度としていたが、3月に実施設計を終了し概算事業費を試算したところ、30億円程度になることが判明した。設計は 佐藤総合計画中部事務所(名古屋市中区)が担当し、13年12月から進めていた。
 県側としては、現在の施設計画が関係者や保護者らの要望を踏まえた施設計画であることから、施設規模や学習・生活のレベルを保持させることを前提とするものの、予定していた事業費との差額が大きく、このまま入札を執行しても不調・不落により、事業の遅延を招く恐れを考慮し、いったん、工事の見直しと事業費の精査を行うことにした。工法の変更による省力化、資材のコスト低減などの視点で設計の見直しを行う。事業着手年度は現時点では明確にしていないが、18年4月の開校を目標に作業を進めるものとした。
 見直しに当たっては、構造自体の変更はできないことから、部位の特殊な工法を標準工法に変更するなどの検討を行う。例えば、PC梁(はり)工法の見直し、基礎部の型枠の省力化、鉄筋先組み工法によるコストダウンなどの検討が見込まれる。現時点で試算された30億円を見直しでどの程度抑えられるのかが鍵を握ることになりそうだ。
 建築工事の不調・不落の傾向は全国的にも13年度から増加し、三重県下でも津市のスポーツ施設「サオリーナ」建設が、4回目の入札で落札。事業費は当初の60億円が90億円になっていた。桑名市の総合医療センターは3回目の入札も不調だったが、随意契約の手続きを進めている。事業費は当初の約52億円が約90億円になっている。一方、県事業では、こども心身発達医療センターについて、試算段階で事業費の増額が明確になり、当初の約60億円を約90億円に見直し、15〜16年度の中で予算措置を行い、4月(建築工事)に1回の入札で落札者が決まった経緯がある。

提供:建通新聞社