県県土整備部営繕課は「農林総合研究センター再編整備事業」の基本設計で、このほど指名通知を行い、プロポーザル手続きを開始した。9月中旬に設計者を決定する。委託費は県の当初予算で2449万7000万円を計上。本年度で基本設計、2016年度で実施設計を行い、17年度に着工、19年度の供用開始を目指す。
同事業は、本場内に分散する農林総合研究センターの本館など8棟と本場外にある育種研究所本館、果樹育種試験地事務所を本場内で2階建て1棟の建物内に集約し、機能強化を図る。建設場所は千葉市緑区大金沢町地先で、本場内の旧芝草ほ場内を予定。
同センターの施設は分散し、老朽化が進んでいる。このため、新品種の開発や新たな栽培技術等の確立など機能強化に向けた効率的な研究体制を整備するため、施設を集約して建て替える。本場内の10棟のうち、検査業務課棟と生物工学研究室を除いた8棟と、再編する育種研究所(長生村)及び果樹育種試験地(千葉市緑区辺田町)から機能移管する分を含めて、本場内で1棟に集約する。
本場は本館を含む10棟の建物群で構成されているが、本館が建設後50年、その他の建物も多くが40年以上経過し、耐震強度不足や狭あい化、老朽化、機器類の旧式化など研究環境が劣悪化している。
施設を集約するにあたっては、本場内の10棟のうち、肥飼料の法定検査や放射能検査を扱う検査業務課棟と遺伝子関連研究を行う生物工学研究棟は、検査の精度保持や異物混入防止の観点からも既存施設を使用することとした。建物は新耐震基準のため、建て替えの対象から除かれた。また、育種研究所と果樹育種試験地は、研究部門を本場に統合し機能を強化する。
同センターは1908年に市川市中山に農地試験場として開設され、63年に現在の千葉市緑区大膳野町に移転。その後、森林研究センターなどと統合し、08年に農林総合研究センターに改組した。本場を核に県内13か所の研究所・研究室で構成され、県農林業の試験研究機関として、新品種の育成や栽培技術の開発など全国屈指の農業県を支えている。
本場の敷地面積は31・8ha。建物の総延べ面積は8845u。ほかに、ほ場18・3haと農業用ハウス95棟1万251uがある。