日本工業経済新聞社(群馬)
2015/07/29
【群馬】本年度受注実績、75%の企業で昨年度比減少か
国土交通省関東地方整備局、県県土整備部、群馬県建設業協会は28日、前橋商工会議所会館で意見交換を行った。協会が『建設業の担い手確保・育成』『除雪体制の維持』『建設現場の生産性の向上』の3テーマを提案し、意見を交わした。また、協会は会員企業を対象とした緊急アンケート調査結果を示した。約75%の企業が本年度の公共工事受注見込額について、昨年度実績と比較して減少するとし、公共事業の予算確保や発注量の長期安定化を求めた。
関東地方整備局の越智繁雄局長は、公共事業予算について「2013・14・15年度と横ばい、微増で進んできている。10数年来右肩下がりだった予算の下げ止まりが見えた。同時に先を見通せる予算ができてきた。16・17年度も大幅増は厳しいが、見通しが持てるよう予算を確保していくことが大事」と述べた。担い手3法が成立したことについては「適正な利潤確保にあわせ、人材確保、担い手づくりが強く打ち出された。給料を良くし、休暇を取れるようにし、希望のある産業にする新しい3Kにすることで、担い手が集まってくる。皆さまと知恵を出し合いながらやっていく必要がある」と呼びかけた。
県県土整備部の倉嶋敬明部長は「07年の大澤知事就任以来、中心施策である7つの交通軸構想は、高速道路の効果を県内すみずみまで行き渡らせるよう、特段進めてきた。一層道路の効果を確かなものとするため、7つの交通軸の主軸整備を今まで進めてきたが、今後はあわせて交差軸、工業団地や観光地を結ぶ軸の整備を計画的に行い、軸の整備に加え軸を強化する事業促進を図っていく」と示した。
群馬県建設業協会の青柳剛会長は「県内各支部から『事業量が極端に減っている』という声が聞こえるようになった。ことしは具体的な方策として『技術者・技能労働者の確保育成』と『建設現場の生産性の向上に向けた取り組み』を掲げた。きょうは、第1四半期が終わった段階での発注件数や事業量の現況などについて、データに基づいて問題提起をしていこうと思っている」とあいさつした。
『建設業の担い手確保・育成』『除雪体制の維持』をテーマとした意見交換では、協会側が「建設業への若年者の入職促進を総合的に推進してほしい。除雪体制は本業の経営が健全でなければ維持が難しい」と訴え、公共事業関係予算の確保や発注量の長期安定化、発注時期・施工時期の平準化、早期化などを要望。これに対し、関東地方整備局は「既存施設の機能が効果的に発揮されるよう計画的な整備を推進するため、必要な公共事業予算を安定的・持続的に確保するよう努めていく。昨年度から工事工程の共有化の試行工事を開始したほか、本年度からは国債、翌債、『余裕期間の設定』の活用による施工時期などの平準化に取り組んでいる」とした。
また、『建設現場の生産性の向上』について、協会側は「受注者が努力するだけでなく、発注者の采配に負うところが大きい」と述べ、着工遅れや一時中断の解消、ワンデーレスポンスの徹底、建設現場の甲乙関係(発注者と受注者の関係)の対等化を求めた。関東地方整備局は「各事務所へ周知徹底を図ったところ。『工事請負契約における設計変更ガイドライン』の改訂において、受発注者が対等の立場であることを改めて記載した」と応じた。
意見交換会の中では、協会が今月22日に実施した本年度の受注見込額に関する緊急アンケート調査結果を示し、青柳会長は「296社のうち、4分の3が昨年より厳しい状況」と指摘した。
また、青柳会長が昨年の意見交換会で提言した『予定価格の上限拘束の弾力的設定』についても話題に上がり、関東地方整備局は「予定価格の上限拘束に関しては、本省で実際に幅のある実勢価格を予定価格に反映させる仕組みなどを検討していくと聞いている」と明らかにした。