秋田県秋田地域振興局建設部(所管:県下水道課)は、秋田湾・雄物川流域下水道臨海処理区と秋田市単独公共下水道・八橋処理区の統合(機能合体)に向け、臨海処理センター(秋田市向浜二丁目3の1)の既存水処理設備を更新して能力を増強させる。初弾は1−1系が対象で、来月18日には予定価格3,953万円(税抜・総合評価落札方式)で詳細設計業務が開札される。工事は早ければ来年度にも発注する。
計画は、秋田市公共下水道の八橋終末処理場汚水を秋田臨海処理センターに流入させるもので、機能統合の目標年度は平成32年度。秋田市の八橋終末処理場は昭和45年4月に供用を開始。すでに45年を経過して老朽化が著しく、耐震補強を含めて改築更新には多額の費用が必要とされている。
県の臨海処理センターに八橋処理区の汚水を受け入れると、処理水量の増加によるスケールメリットを生かした維持管理費の縮減などが期待できるとされている。過去の試算では、統合によって今後50年間で建設費や維持管理費合わせて約120億円のコスト減になるとされているほか、事業運営面では秋田市公共下水道で管理対象施設が減るため、資産管理業務なども軽減できる。
また、流域下水道では施設稼働率の向上による安定した維持管理ができ、汚水処理原価の低減や負担金の収入増による安定経営が見込まれている。
機能統合に伴い、県が管理する臨海処理センターでは水処理設備の機能増強が必要となる。既設は4系列(1−1、1−2、2−1、2−2)で1系列あたりの処理能力が30,000㎥/日、4系列合わせて最大120,000㎥/日となっているが、最終的に最大150,000㎥/日に処理能力を増強させる。
今回、詳細設計の対象となっている1−1系の整備では、隣接する1−2系と最初沈澱池を共有することで2系列合わせて72,000㎥/日に増強される(現在は60,000㎥〔30,000㎥×2系列)。更新対象設備は最初沈澱池、反応槽、最終沈澱池、送風機の機械・電気で、吐出槽・導水きょ・分配槽では土木工事も発生する見通し。更新工事は早ければ来年度に発注する。
来年度はほかに、次期整備となる2−1系の設備更新に向けた詳細設計も委託する予定。今回の整備と同様、2−2系と最初沈澱池を共有させることで、2系列合わせて70,000㎥/日以上に能力を増強させる。2系の整備を終えた時点で、センター水処理設備の処理能力は最大150,000㎥まで向上する予定。
秋田臨海処理センターの下水排除方式は分流式。汚水処理は標準活性汚泥法、汚泥は重力濃縮と機械濃縮で消化し、脱水して焼却している。現計画人口は333,360人、計画1日最大汚水量は180,000㎥/日だが、今年度はこの計画を見直すため、来月以降に委託業務が公告される見通し。
提供:秋田建設工業新聞社