日本工業経済新聞社(群馬)
2015/07/28
【群馬】伊香保町で3年計画の治山事業を実施
県渋川森林事務所は、本年度から渋川市伊香保町の上ノ山で新規の治山事業を開始する。本年度が初弾工となり、事業全体の完成は3年後の2017年度を見込んでいる。固定工が主な工事となり、総面積は約700uで計画。過去にも対策工事を行っているが、ことしに入り落石が発生。温泉宿から現場が非常に近いことから、それを補うことを目的に事業化された。なお、5月には測量調査業務が委託された。
測量調査は群馬県森林・緑整備基金(前橋市)が受注し、事業全体の設計をすべて終えている。現在は、同事務所が積算などの発注に向けて業務を進めている状況。
工事箇所は、湯元通りの東側斜面で、付近には温泉宿や菓子店、公衆トイレなどがある。事業は大きく3つに分かれ、工事を年度ごとにそれぞれ一括で発注する予定だ。本年度は、最も下流側の宿から約100m離れた付近で工事を実施。近く指名通知される予定だ。早ければ、来月後半から工事がスタートし、来年1月の完成を目指している。網状の固定工や特殊金網併用のロープ伏工を計約64u、落石防護柵工をL31・5m、H2・5m(有効柵高)行う。工事期間中は春の落石がこれ以上転がらないよう、2カ所で仮設防護柵を設け、終了後に撤去する。2年目となる2016年度は本年度の上側、全体の真ん中付近で実施し、最終年の17年度は最上流部で工事を計画するなど、16年度と17年度は固定工など合わせて計7カ所を予定。内訳は16年度が4カ所の約424uとロープ掛工(2−φ12)を1カ所、17年度は2カ所の約192uの工事を実施する。そのほか転石破砕も工事に含まれる。現段階の計画では両工事とも年度の早い時期に発注し、同年度内に工事を完了させる。施工のためのモノレールの設置も仕様に盛り込まれているようだ。
担当者によると、事業規模自体は大きい部類に入るという。該当箇所はこれまで治山事業に取り組み、落石防護壁や土留工など合わせて9カ所実施している。しかし、ことしの春に落石が発生し、現在も防護壁などの付近には落石が残っている状況にある。温泉宿からも近いため、地元からの要望を受けて今回工事を行うことになった。現場付近の擁壁には「昭和56年度県単治山事業」と書かれた銘板が残っている。