大垣市は、新庁舎建設の基本・実施設計者選定を公募型プロポーザル方式で行い、最優秀者を決定した。代表企業には山下設計中部支社(名古屋市中区)、市内企業には車戸建築事務所を選んだ。2者が8月上旬に設計共同企業体を結成し、8月末ごろには市と契約を締結する。
2015年度と16年度に基本設計と実施設計を進め、17年度に新庁舎の建設に着工、20年度の完成を目指す。
新庁舎の延床面積は、現庁舎の1・7倍に当たる約2万1000平方b。内訳は事務室が6386平方b、書庫・倉庫が830平方b、会議室・便所などが5558平方b、玄関・通路などが5109平方b、議会関係が770平方bと付加機能面積として窓口サービス機能が1087平方b、市民協働・参画機能が427平方b。新庁舎本体工事費は90億円程度を見込む。建設地は丸の内2ノ29ほか。
山下設計の提案は、庁舎低層部に市民が自由な発想でさまざまな使い方ができる協働スペースを設けたほか、水門川沿いの親水空間を使ったテラスや広場など水都大垣にふさわしい景観をつくりだした。また、市民を主役と捉え市民広場を中心に配置し大垣の新たなシンボルとした。選定理由は、庁舎設計の実績が豊富で技術力が高く、提案では水都大垣の回遊性や水門川との親水性を高めるとともに多くの人が利用する低層部のフロア面積を広く確保し、来庁者の動線やセキュリティーなど細部にわたり配慮されていることが評価された。また、免震構造の採用など防災拠点として市民を支える高い耐震性や豊富な地下水を使った空調システムや施設の長寿命化など、環境に優しい庁舎に加えて建設コスト面でも現実的な提案となっており、全体に高く評価された。
車戸建築事務所は、特色ある地域資産の貴重な循環型資源の「水」、永い歴史が育んだ「文化」、産業都市が培ってきた「街」の三つの力に配慮し中心市街地の核施設としての新庁舎を目指すことを提案。選定理由は、過去の業務実績や受賞歴に加えて水とともに発展してきた市の歴史的な背景を捉えていたことや、市が進める政策や文化の街大垣を主眼にするなど市内企業として市内目線での役割を担い、代表企業を最大限サポートできる点などが評価された。
現在の庁舎は、耐震性や老朽化、狭隘(きょうあい)化など、さまざまな問題を抱えている。また災害対策本部など市民の安全を守る防災拠点施設として、新庁舎の早期建設は最重要課題となっている。新庁舎は現本庁舎北側に建設し、現本庁舎を解体した跡地に駐車場約180台を集約し整備する。解体予定の現庁舎の施設規模は本庁舎が鉄筋コンクリート(RC)造4階建て延べ1万0736平方b。北庁舎南館がRC造4階建て延べ962平方b。北庁舎北館がRC造2階建て延べ394平方b。東庁舎がRC造3階建て延べ1471平方b。
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建通新聞社