道守活用検討部会 初会合
道守の確保・育成企業へのインセンティブも議論 長崎県建設産業団体連合会(建産連、谷村隆三会長)は23日、道守活用検討部会(議長・高橋和雄長崎大学名誉教授)の初会合を開いた。本年1月に国土交通省が社会資本を点検・診断する民間資格≠ニして登録した『道守』について、産学官民が連携して活用策を検討する。
道守を養成してきた長崎大学インフラ長寿命化センターの松田浩センター長が、建産連の「第4回産学官連携建設業人材確保育成協議会」で提案、協議会のWGとして検討部会の設置を決めた。今後、(一財)建設業振興基金が設置した「建設産業担い手確保・育成コンソーシアム」による「地域連携ネットワーク構築支援事業」のメニューの一つとして検討を進めていく。
検討会には、「官」の立場として、国土交通省九州地方整備局長崎河川国道事務所、県道路維持課、長崎市土木維持課。「学」として長崎大学(インフラ長寿命化センター)と(公財)県建設技術研究センター(ナーク)。「産」が(一社)県建設業協会と(一社)県測量設計コンサルタンツ協会。「民」が樺キ大長崎事務所(県道路技術職員OB)と橋梁塗装技術専門家(ナーク客員研究員)―が参加。
初会合では、国、県、長崎市が、インフラの維持管理の取り組みや道守活用の現状を報告。長崎大学が道守制度について説明した。この中で河川国道事務所は、管内の橋梁、歩道橋、トンネルの3件の点検業務について、道守を含む民間資格を活用した発注を行ったことを報告。ここでは、配置する担当技術者の要件に技術士や土木学会認定技術者、RCCM(シビルコンサルティングマネージャ)とともに道守を挙げた。さらに道守は、技術士や土木学会認定の特別上級・上級技術者と同等の2点を加点。RCCMや土木学会認定の1級技術者(1・2点)より高い配点を設定している。
これらの説明を受け業界側は、地域で専門的な人材を育成する体制を整備した道守の取り組みを高く評価。ただ今後の課題として、育成した人材を安定的・継続的に確保・活用できる仕組みづくりを挙げた。「企業が安定的に経営できなければ、技術者の雇用は困難」と述べ、道守を確保・育成している企業に対する、発注面をはじめとする何らかのインセンティブの必要性を訴えた。
検討会では今後、▽入札契約制度面などからの道守の活用方法の検討▽道守認定制度のバージョンアップと費用負担▽点検などに関係する新技術の研究・活用▽県内建設業が施工可能な維持修繕工法の導入・普及▽情報共有システムの一元化―などについて検討。長崎大学が中心となり、年度末までに3〜5回程度の検討会を開き、本年度中に一定の成果を出したい考えだ。必要に応じて、来年度以降も検討を継続する。