三重県農林水産部は、農業の持続的な発展や情勢の変化を踏まえた農業・農村の基盤づくりを進めるための「三重県農業農村整備計画」(仮称)の「中間案」を取りまとめた。2016年度から25年度までの10カ年を計画期間とし、老朽ため池の耐震化、排水機場の長寿命化などの整備方針や主要な施策を盛り込んだ。中間案のパブリックコメントは8月5日まで行う。有識者の意見も反映させながら11月に最終案を作成し、県議会への報告を経て、15年度末までに策定する。
同計画は、「農業農村整備の現状と課題」や「整備方針と主要取り組み」など第1〜5章で構成し、@農業生産性の向上A安全・安心な農村づくりB地域の特性を生かした農村の振興C多面的機能の維持増進―の四つの整備方針と主要取り組みを挙げた。各方針の基本目標指標、基本事業目標指針として、15年度(または14年度)の現状値、20年度の中間目標値、25年度の整備計画目標を設定した。
排水機場の耐震対策などハード面の基本事業の内容と目標指針などは次の通り。
〈農業生産性の向上〉
基本目標指針は農地の担い手への集積(面積)率で、現在、検討中。
基本事業の一つは、農家の大きな負担となっている水管理作業の軽減と維持管理の省力化のために、農地のパイプライン化を推進する。指標は基盤整備を実施した地区と25年度までに基盤整備に着手する予定地区の4500fのうち、用水路のパイプライン化を実施した面積の割合で、15年度の現状値を51・1%とし、20年度は61・7%、25年度は80%とした。
二つ目の基本事業は、生産性の高い農業を目指した農地整備(区画整理)事業。指標は基盤整備を実施した地区と25年度までに基盤整備に着手する予定地区の4500fのうち、区画整理を実施した面積の割合で、15年度の現状値を85・1%、20年度は86・6%、25年度は90%とした。
〈安全・安心な農村づくり〉
基本目標指針は、耐震対策などの緊急性が高い農業用ため池や排水機場の被害想定面積のうち、整備により災害が未然に防止される面積の割合で、15年度の現状値を35・3%、20年度は44・6%、25年度は70%とした。
基本事業の一つは、農業用ため池の決壊を防止する耐震対策事業。指標は老朽化した農業用ため池のうち耐震対策を実施したため池の箇所数で、15年度の現状値を42カ所、20年度は51カ所、25年度は65カ所とした。
二つ目の基本事業は、基幹的農業水利施設の耐震化および長寿命化対策。排水機場については、耐震対策などを実施した箇所数を指標とし、15年度の現状値を5カ所、20年度は10カ所、25年度は22カ所とした。用水路については、機能保全計画を策定した施設延長(以前に計画済みの延長も含む)を指標とし、15年度の現状値を33`、20年度は60`、25年度は75`とした。
〈地域の特性を生かした農村の振興〉
基本目標指針は、農業用用排水施設などの生産基盤整備や集落道などの生活環境整備について、整備を実施した中山間地域の集落数の割合で、15年度の現状値を65・4%、20年度は85%、25年度は90%とした。
基本事業の一つは、農業集落排水施設の新設および機能強化対策を実施した整備地区数を指標とし、15年度の現状値を5地区、20年度は47地区、25年度は75地区とした。
二つ目の基本事業は、環境に配慮して整備した施設および農道・集落道路の整備施設数を指標とし、15年度の現状値を2施設、20年度は37施設、25年度は59施設とした。
提供:
建通新聞社